費用?損金?必要経費?

会社や個人事業を営んでいると「費用」「損金」「経費」など似たような言葉を聞くことがあると思います。

これらすべて同じ意味かと言うとそうではありません。

今回は、費用と損金・必要経費の違い、損金と必要経費の違いを

何回かに分けてお伝えしていきます。

費用とは

費用とは、会計上の用語で会社や個人事業主が

事業を営んでいくうえで発生した材料の購入や人件費、交際費のような

金銭の支出を伴うものほか、減価償却費のような金銭の支出が

伴わないようなものも費用となります。

ちょっとわかりづらいので金銭の支出を伴うものについてもう少し説明を加えると

お金が支出するものでも

借入金の返済、買掛金・未払金の支払など・・・負債の減少①

車両や備品の取得、株式の購入など・・・資産の増加②

上記2つにあてはまるような支出は費用とはなりません。

逆に言えば、上記2つに当てはまらない支出は、何らかの費用ということになります。

式にすると費用とは

(お金の支出-①-②)+支出の伴わないもの(減価償却費、貸倒引当金繰入など)

となります。

損金・必要経費は、税法上の用語

損金・必要経費という言葉はいずれも税法上の用語です。

損金・・・法人税法上の用語

必要経費・・・所得税法上の用語

費用=損金・必要経費ではない

費用は、

(お金の支出-①-②)+支出の伴わないもの(減価償却費、貸倒引当金繰入など)

とお伝えいたしました。

では、次の支出は費用でしょうか?

・今期計上した法人税又は所得税

・配達中路上駐車をしたことによる反則金

・税金の納付が遅れたことによる延滞税

・税務署に何の届け出もせずに払った役員賞与

これらは、費用ではありますが損金や必要経費ではありません。

また、交際費や寄付金、役員報酬、減価償却費などでも

一部または全部が損金や必要経費にならない場合もあります。

一般的な税務相談で「この領収書経費で落ちますか?」という質問がございますが

これは、税金の計算上損金又は必要経費になるかという意味合いだと思われます。

なぜ、費用になるのに損金・必要経費にならないのか。

細かい理由については、説明が長くなるので割愛させていただきますが

費用(会計)は、会社の経営成績などを利害関係者(金融機関・株主など)に

報告することを目的とし、経営者に費用計上についての裁量が広いが、

損金・必要経費は、税収確保のため税法という厳密なルールに基づき

公平に課税をすることを目的としているため、

経営者に損金・必要経費計上についての余地があまりない。

この目的の違いによりズレが生じてしまうので

費用≠損金・必要経費となってしまうのです。

損金・必要経費にならないとはどうゆうことか

費用にはなるが損金にならないとなるとどうなるか。

簡単に例をあげますと

税率を仮に40%とします。

収益1,000-費用800=税引前利益200←利益に対して税率を掛けると税金は80

税引後利益200-80=120となるはずです。

しかし、実際は費用=損金ではないので

費用の中に損金とならないものが400あるとすると

*益金1,000-損金(800-400)=*所得600←所得に対して税率を掛けると

税金は240となります。

*益金・・・簡単に言うと税務上の収益

*所得・・・簡単に言うと税務上の利益

そうすると、決算書上では

収益1,000-費用800=税引前利益200-税金240=税引後利益▲40となって

利益以上に税金が掛かっていることになってしまいます。

これを調整するために税効果会計なるものがありますが

今回は説明を割愛させていただきます。

まとめ

このように、会社や個人事業主にとって払った領収書が

経費(損金・必要経費)にならないとなると

費用にはなるので決算書上は利益がその分少なくなる

損金にならない分所得が増える。結果、税金が増える。

余計な税負担分だけ、お金が減ることになりますので

何が損金・必要経費になって、何が損金・必要経費にならないかは

とても重要になってきます。

具体的なことは後日お伝えしていきますが

今回は基本的な損金・必要経費の意味についてお話させていただきました。