今回は、賃貸アパートなどの不動産を取得するに際して支払う各種税金(不動産取得税、登録免許税、未経過固定資産税)についてお話させていただきます。
目次
不動産取得税・登録免許税の取り扱い
前回と言ってることが違うじゃねーか!
例)
・仲介手数料
・立退料
・設計料
・建築確認申請費用
・地質調査費
・地鎮祭の費用 など
非業務用の場合
未経過固定資産税の取り扱い
買主側の取り扱い
未経過固定資産税等相当額は譲受資産に係る購入対価を構成するものとして固定資産の取得価額に算入すべきであるとした事例
要旨》
請求人は、不動産を譲り受けた際に譲渡人に支払った未経過固定資産税等相当額(当該不動産に係るその譲受けの年度の固定資産税及び都市計画税のうち当該不動産の引渡日以後の所有期間分に相当する額をいう。)は、固定資産税等そのものであり租税公課であるから不動産の取得価額に含まれない旨主張する。
しかしながら、固定資産税等は地方税法に基づき1月1日の不動産の所有者が納税義務を負うことになっており、賦課期日後に所有者となった譲受人が固定資産税等の納税義務を負うものではないから、譲受人が譲渡人に支払った未経過固定資産税等相当額を租税公課そのものであるということはできない。そして、売買当事者間で合意に基づき授受された未経過固定資産税等相当額は、あくまでも合意された売買の取引条件の一つであり、当該条件を満たさないことには売買取引そのものが完了しないと考えられるから、当該未経過固定資産税等相当額は取得関連費用ではなく、狭義の購入の代価として取得価額に含まれるとするのが相当である。
国税不服審判所HPより 平成25年8月30日裁決
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204040000.html#a92
売主側の取り扱い
その売却した不動産が不動産所得や事業所得の業務の用途で利用されていたら、不動産所得や事業所得の必要経費になりますけど。
まとめ
①不動産取得税、登録免許税
業務用(アパートなど)不動産の場合
・・・必要経費算入
非業務用(自宅など)不動産の場合
・・・取得価額(取得費)に算入
②未経過固定資産税
業務用・非業務用ともに取得価額(取得費)に算入
ちなみに売主側は
未経過固定資産税は譲渡所得の収入金額となる。
一方で、売却した年に支払った(又は支払う)固定資産税は、取得費にならない。(事業又は不動産所得の業務の用途に利用していた不動産の場合には、売却年の事業又は不動産所得の必要経費になる)
参考通達
所得税基本通達37-5(固定資産税等の必要経費算入)
業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所税、自動車所得税等は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭51直所3-1、平5課所4-1改正)
所得税基本通達38-9(非業務用の固定資産に係る登録免許税等)
固定資産(業務の用に供されるものを除く。以下この項において同じ。)に係る登録免許税(登録に要する費用を含む。)、不動産取得税等固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課は、当該固定資産の取得費に算入する。(昭51直所3-1、直法6-1、直資3-1、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13改正)
所得税基本通達38-10(土地についてした防壁、石垣積み等の費用)
埋立て、土盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額はその土地の取得費に算入するのであるが、土地についてした防壁、石垣積み等であっても、その規模、構造等からみて土地と区分して構築物とすることが適当と認められるものの費用の額は、土地の取得費に算入しないで、構築物の取得費とすることができる。上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても、同様とする。(昭56直所3-3、平元直所3-14改正)
(注)1 専ら建物、構築物等の建設のために行う地質調査、地盤強化、地盛り、特殊な切土等土地の改良のためのものでない工事に要した費用の額は、当該建物、構築物等の取得費に算入する。
2 土地の測量費は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、土地の取得費に算入する。
所得税基本通達38-11(土地、建物等の取得に際して支払う立退封等)
土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等を使用してした者に支払う立退料その他その者を立ち退かせるために要した金額は、当該土地、建物等の取得費又は取得価額に算入する。