所得税

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小林税理士
予定納税額や源泉徴収税額などの所得税の還付があった場合には、その還付金額は、不動産所得の収入金額には計上しません。
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社長
なんで?
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小林税理士
所得税は、簡単に説明すると収入から必要経費を差し引いた所得に対して課されるので、その所得税の納付は必要経費にならないので、還付があった場合には、逆に収入金額に計上しないことになります。

還付加算金は雑所得になる

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小林税理士
所得税の還付があった場合、一緒に還付加算金といったものを受け取ることがあります。
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小林税理士
これは、予定納税などを一旦納税してから還付があるまでの期間の国に対する利息的なものなので、雑所得として申告します。
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社長
利息なのに利子所得じゃないんだ?
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小林税理士
利息のようなものであって、利子所得の定義にあてはまらないことから雑所得になってしまうんです。

個人住民税

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小林税理士
個人住民税は、前年の所得に基づいて課税されるので、本来は還付ということはありませんが、所得税で更正の請求を行ったことなどにより、納付済みの住民税が過納付となることがあります。
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小林税理士
その場合の還付された住民税についても所得税と同様、収入金額には計上しません。

消費税

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小林税理士
消費税の還付の場合には、税込経理で処理していたか、税抜経理で処理していたかによって、扱いが異なります。

税抜経理の場合

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小林税理士
税抜経理の場合には、還付になる消費税額は「未収還付消費税」又は「未収入金」などのような科目で処理されていると思います。
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小林税理士
ですので、消費税の還付額が入金された場合でも、
現金預金〇〇/未収還付消費税〇〇
となって収入金額には計上されません。

税込経理の場合

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小林税理士
税込経理の場合には、消費税の納税額は必要経費に算入していますので、還付となった場合には、逆に収入金額に算入します。
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小林税理士
この場合の消費税の収入計上時期は以下のようになります。
消費税還付の場合の収入計上時期

・還付の消費税申告書を提出した日の属する年の収入金額に計上する。
ただし、
・還付税額を「未収還付消費税〇〇/雑収入〇〇」などのように、未収計上している場合
⇒未収に計上した年の収入金額に計上しても差し支えない。

(消費税等の総収入金額算入の時期)
8 所得税の課税所得金額の計算に当たり、税込経理方式を適用している個人事業者が還付を受ける消費税等は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入し、更正に係る税額については当該更正があった日の属する年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。ただし、当該個人事業者が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を未収入金に計上したときの当該金額については、当該未収入金に計上した年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入することとして差し支えない。

国税庁HP「消費税法等の施工に伴う所得税の取り扱いについて」より

固定資産税・都市計画税

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小林税理士
固定資産税等については、基本的に還付ということはありませんが、区役所などでの過年度の課税誤りなどがあった場合には、固定資産税等が還付されるということはあり得ます。
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小林税理士
この場合の収入計上時期は、事業的規模か事業的規模以外かで異なります。
固定資産税等の還付があった場合の収入計上時期

・事業的規模の場合・・・還付された年の収入金額とします。

・事業的規模以外の場合・・・還付された固定資産税等について、その固定資産税等が必要経費に算入された年の申告をやり直(修正申告)します。

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社長
事業的規模か事業的規模以外かで、扱い方が全然違うんだけど何で?
修正申告するとか、かなり面倒なんだけど。
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小林税理士
理由としては、事業的規模の場合には、今後も事業が継続するという前提なので、継続的に発生する固定資産税等のような必要経費が還付された場合でも、いちいち過去に遡って修正せずに、事業を継続していれば発生しうる収入の一つとして、その年の収入金額にしてしまおうという考え方です。
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小林税理士
一方で、事業的規模以外の場合は、今後も事業として継続するという前提ではないので、還付された固定資産税等は、過去に必要経費に算入された固定資産税等が過大だったということになるので、その必要経費を修正するという原則的な考え方により、過去の申告をやり直すということになっています。
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社長
理屈としては、わかったような、わからなかったような感じだけど、ただ、事業的規模以外ってことは小規模な納税者が多いだろ?
修正申告とか大変じゃないか?
事業的規模と同じように還付があった年に収入計上でもいいような気がするけど。
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小林税理士
そうですね、それは思います。

必要経費に算入されていないものは収入計上しない

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小林税理士
それと、還付された固定資産税等の中に自宅分など必要経費に算入していない部分があったりした場合には、その部分は収入金額に算入しません。

事業税

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小林税理士
個人事業税も個人住民税と同様、前年の所得に基づいて課税されるので、基本的には還付はありませんが、更正の請求などによって還付となった場合には、固定資産税の場合と同様に扱います。
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社長
あれ?個人事業税の場合は、事業的規模以外って非課税じゃなかったっけ?
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小林税理士
事業的規模以外の場合、基本的には非課税となることが多いですけど、駐車場を貸してる場合なんかは、個人事業税で「駐車場業」に認定されてしまうこともあるので。
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社長
ああ、そうなんだ。
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小林税理士
でも、個人事業税の場合には、290万の事業主控除もありますし、事業的規模以外の方は事業税が課せられていないことの方が多いので通常は過年度に遡るということはないと思いますけどね。

まとめ

税金の還付があった場合の収入計上時期

・所得税・・・計上しない
・個人住民税・・・計上しない
・消費税
  税抜経理の場合・・・計上しない
  税込経理の場合・・・還付された年又は未収計上した年に計上
・固定資産税等
  事業的規模の場合・・・還付された年に計上
  事業的規模以外の場合・・・還付された固定資産税が必要経費に算入された年に遡って修正申告する
・事業税・・・固定資産税等と同様