「スーツの購入代は経費で落ちますか?」

よく聞かれるこの質問。

税理士でも経費で落ちるという人と経費で落ちないという人がいるようです。

では、なぜ意見がわかれるのか?

経費とするにはどうすべきかなどについて考えていきます。

なぜ意見が分かれるのか?

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小林税理士
税理士によってもこの問題は、結構意見が分かれているんですよ。
スーツが経費にならないという意見

・過去にスーツが経費にならなかった判例があるから。
・スーツはプライベートでも着られるから。  など

スーツが経費になるという意見

・業務に必要で、仮にプライベートでも利用するにしても業務に必要な部分を合理的に区分していれば必要経費になる。
・特定支出控除の改正で被服費も入ってきたから、経費にならないとおかしい。   など

だれの経費で落とすのか?

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小林税理士
経費で落ちるかといっても、誰の経費になるかによって変わってきます。
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社長
誰のって?
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小林税理士
要は
・会社(法人)の経費で落としたいのか。
・個人事業主の必要経費として落としたいのか(次回)
・サラリーマン(給与所得者)の経費として落としたいのか
ということです。(次回)

会社(法人)の経費で落ちるのか?

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小林税理士
では、まず会社の福利厚生費や消耗品費で落とせるかについて考えてみたいのですが。
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社長
会社の経費で落とそうとしたら、スーツを会社の制服として扱うことになるんだろうな?
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小林税理士
そうですね。
いわゆる作業着や事務服のように扱うということなら制服等の支給について、給与課税されない旨の規定がありますので会社の経費で落とせる余地はあります。

所得税法第9条 (非課税所得)
 次に掲げる所得については、所得税を課さない。

1~5まで省略

 ◆6 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。) でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
以下、省略

所得税法施行令第21条 (非課税とされる職務上必要な給付) 
 法第9条第1項第6号(非課税所得) に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
 ◆1 省略
 ◆2 給与所得を有する者でその職務の性質上制服を着用すべき者がその使用者から支給される制服その他の身回品
 ◆3 前号に規定する者がその使用者から同号に規定する制服その他の身回品の貸与を受けることによる利益
 ◆4 省略

所得税基本通達9-8(制服に準ずる事務服、作業服等)
 専ら勤務場所のみにおいて着用する事務服、作業服等については、令第21条第2号及び第3号に規定する制服に準じて取り扱つて差し支えない。

要件は厳しい

制服代の支給ではダメ!

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小林税理士
上記の規定は、会社がスーツを支給するのではなく、スーツ代を支給して、役員や従業員に自分の好きなスーツを購入させるといった場合には適用されず、スーツ代の支給を受けた人の給与所得となります。
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社長
確かに、スーツ代支給して「好きなスーツ買ってきていいよ。」では、会社の事務服とは言い難いもんな。
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小林税理士
他にも下記のような要件があります。
制服を会社の経費とするための要件

・勤務場所で職務を行う上で着用すること
・プライベートでは使用しない又は着用出来ないものであること
・原則、その職場の全員を支給対象とするものであること

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社長
結構厳しいな...
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小林税理士
また、国税庁の質疑応答事例でも以下のような回答があります。
国税庁HPより 
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/27.htm

社長のスーツを会社の経費で落とすには

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小林税理士
上記の法令や通達の取り扱いから検討するに、社長のスーツ代を会社の経費に落とそうと思ったら、
社長のスーツを会社の経費にするためには

例)
・会社の制服扱いにする。
・会社の制服なので、社長以外の他の従業員にも制服を支給する。
・会社の業務以外で利用しない又は出来ないための措置を施す。(会社で着替えるようにするなど)
・さらに制服なので、そのスーツを着用していることで、その会社の従業員であることが判別できるようにする(同一デザインのスーツを毎日着用させるなど)

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社長
こんなことしてまで会社の経費にしたくねーわwww
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小林税理士
そうですね。
会社の経費にするっていうのは、結構厳しいですね。