所得税

土地建物を一括取得した場合の各取得価額

(更新 )

個人で中古アパートなどを買った場合、売買契約書に土地と建物の金額が分けて書かれていないことがよくあります。この記事では、土地と建物の取得価額を分ける方法を解説します。

この記事のポイント

  • 建物の減価償却や消費税の計算のために、土地と建物の金額を分ける必要があります。
  • 契約書に区分がなければ、時価の割合で按分するのが原則です。
  • 実務では、固定資産税評価額の割合で按分する方法が一般的です。

なぜ分ける必要があるのか

土地と建物の金額が分かれていないと、次のような計算ができません。

  • 建物の減価償却費:土地は使っても価値が減らないので減価償却をしません。建物の金額だけを取り出す必要があります。
  • 消費税:土地の売買には消費税がかからず、建物にはかかります。消費税の申告をする方は、建物の金額がわからないと計算ができません。

法人が買う場合も契約書の金額は分かれていないことが多いのですが、多くの場合、代金に含まれる消費税額が記載されているので、そこから建物の金額を逆算できます。

通達での分け方

土地と建物をまとめて買った場合の分け方は、通達で次のように定められています。

租税特別措置法通達35の2-9(土地等と建物等を一括取得した場合の土地等の取得価額の区分)より(要約)

(1) 契約で土地と建物の価額が区分されていて、その価額がおおむね適正なときは、その価額による。

(2) 契約で区分されていなくても、売主の帳簿などで価額が確認でき、その価額がおおむね適正なときは、その価額によることができる。

(3) (1)(2)によることが難しいときは、取得時の土地と建物の価額(時価)の比で按分する。

個人で買う場合、(1)の契約書での区分がないことが多く、(2)も現実的ではありません。そのため、(3)の「時価の比で按分する」方法が一般的です。

社長

時価の比で按分といっても、建物の時価なんてわかりませんよね。

税理士

おっしゃるとおりです。建物の時価を正確に知るには不動産鑑定が必要で、そのためだけに費用をかけるのは現実的ではありません。そこで実務では、時価の代わりに「固定資産税評価額」の割合で按分する方法が、広く使われています。

実務では「固定資産税評価額」で按分する

売買代金を、土地と建物の固定資産税評価額の割合で按分する方法です。計算が簡単で、国税不服審判所の裁決でも、この方法による按分が合理的なものとして採用されていることが多くあります。

例:代金5,000万円のアパート(固定資産税評価額 土地3,500万円・建物500万円)

  • 土地:5,000万円 × 3,500万円 ÷ 4,000万円 = 4,375万円
  • 建物:5,000万円 - 4,375万円 = 625万円

固定資産税評価額は、売主から固定資産税の納税通知書のコピーをもらうか、不動産のある市区町村で固定資産税評価証明書を取得して確認します。

消費税額がわかる場合

売買契約書などに、代金に含まれる消費税額が書かれている場合は、そこから建物の金額を逆算できます(土地には消費税がかからないため)。その場合は、消費税額から計算した建物の金額を使います。

そのほかの方法

固定資産税評価額のほかにも、事情によっては次のような方法がとられることがあります。

  • 不動産鑑定士による鑑定評価額をもとに按分する
  • 通常の取引価額をもとに按分する
  • 建物の建築にかかった原価などをもとに按分する

ただ、いずれも根拠となる資料をそろえる手間がかかるので、特別な事情がなければ、固定資産税評価額による按分で十分です。

土地と建物の按分や、消費税・耐用年数・仕訳までをまとめて計算したい場合は、当事務所の「不動産取得価額・税額計算シミュレーター」もご利用ください。買うときの仲介手数料の分け方は「不動産購入の際の仲介手数料の取り扱い」で解説しています。

※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。