所得税
役員や従業員の食事代を会社が負担したらどうなるの?
(更新 )
会社が役員や従業員に食事を提供すると、その分は原則として給与(経済的利益)として課税されます。ただし、一定の条件を満たせば課税されません。どんな場合に課税されないのかを解説します。
なお、非課税となる会社負担の上限は、2026年(令和8年)4月1日以後に支給する食事から、月額3,500円から7,500円に引き上げられました。この記事は、改正後の金額で解説しています。
この記事のポイント
- 本人が食事代の半分以上を負担し、会社の負担が月7,500円以下なら、課税されません。
- 残業や宿日直のときに支給する食事は、課税されません。
- 深夜勤務の夜食代を現金で支給する場合は、1回650円以下なら課税されません。
通常の勤務時間中の食事
ふだんの勤務時間中に提供する食事は、次の2つの条件を両方満たせば、課税されません。
- 役員・従業員が、食事の価額の半分以上を負担していること
- 会社の負担額(食事の価額 - 本人の負担額)が、月額7,500円(税抜き)以下であること
所得税基本通達36-38の2(食事の支給による経済的利益はないものとする場合)より(抜粋)
使用者が役員又は使用人に対し支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額7,500円を超えるときは、この限りでない。
計算例
1食700円(税抜き)のお弁当を、本人から半額の350円を受け取って提供した場合(月22日勤務)
- 条件1:本人の負担は半額なので、満たしています。
- 条件2:会社の負担は(700円-350円)× 22日 = 7,700円。月7,500円を超えるので、満たしていません。
この場合、条件を満たさないので、会社の負担額7,700円の全額が給与として課税されます。本人の負担を1食360円にすれば、会社の負担は(700円-360円)× 22日 = 7,480円となり、課税されません。
500円のお弁当の半額を会社が負担する場合はどうですか?
会社の負担は(500円-250円)× 22日 = 5,500円なので、改正後の月7,500円以下に収まり、課税されません。改正前の月3,500円の基準では課税されていたケースなので、食事の補助を見直すよい機会だと思います。
残業や宿日直のときの食事
残業や宿直・日直をした人に、その勤務のために支給する食事は、課税されません。
所得税基本通達36-24(課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事)
使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。
深夜勤務の夜食代
勤務時間の一部または全部が深夜(午後10時から翌朝5時)に及ぶ人に、夜食を提供できない代わりに、夜食代を現金で支給する場合は、勤務1回につき650円(税抜き)以下であれば課税されません(2026年4月1日以後に支給するもの。改正前は300円以下)。
650円を超えると、その超えた部分だけでなく、支給額の全額が課税されるので注意しましょう。
課税されると、どのくらい負担が増える?
給与として課税されると聞くと損をするように感じますが、実際の負担の増え方を考えてみます。
課税されても、増えるのは「課税される金額 × その人の所得税率」くらいです。たとえば所得税率5%(復興特別所得税を含めて5.105%)の人なら、月7,700円が課税されても、所得税の増加は約390円です(別途、住民税が10%ほど増えます)。
食事代を自分で払うことを考えれば、多少課税されても、会社に負担してもらう方が手取りは多くなります。会社が全額を負担して課税する方法も、福利厚生として十分に意味があります。
税務調査で指摘されないように
注意したいのは、課税されるのに源泉徴収をしていなかった場合です。1人あたりの金額は小さくても、税務調査では、従業員全員分を過去にさかのぼって追加で納めることになります。
たとえば、1人あたり月300円の源泉徴収漏れでも、従業員10人・3年分なら、300円 × 12か月 × 10人 × 3年 = 108,000円になります。
非課税の範囲で負担するか、会社が多めに負担して給与として課税するかは、会社の考え方次第です。どちらにする場合も、ルールを知ったうえで、きちんと処理しておきましょう。
※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。