所得税

誤りやすい事業専従者控除

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白色申告の個人事業主が、家族に仕事を手伝ってもらっている場合に使えるのが「事業専従者控除」です。青色申告の「青色事業専従者給与」とは仕組みが大きく違い、間違いやすいところでもあるので、計算方法と注意点を解説します。

この記事のポイント

  • 白色申告では、生計を一にする家族への給与は経費になりませんが、代わりに一定額を必要経費とみなす「事業専従者控除」があります。
  • 控除額は、配偶者なら86万円、それ以外の家族なら50万円が上限です。
  • 青色事業専従者給与と違い、届出は不要ですが、実際に払った給与の額とは関係なく計算します。

家族への給与の扱い

白色申告の個人事業主が家族に支払う給与は、原則として青色申告の場合と同じで、次のように扱います。

  • 生計を一にする家族への給与:必要経費にならない
  • 生計を一にしていない家族への給与:通常の給与として必要経費になる

その例外として、青色申告者には「青色事業専従者給与」、白色申告者には「事業専従者控除」という制度があります。

事業専従者控除とは

事業専従者控除は、白色申告の個人事業主の事業にもっぱら従事している、生計を一にする家族がいる場合に、一定の金額を必要経費とみなす制度です。

必要経費とみなされた金額は、その家族(事業専従者)の給与所得の収入金額になります。

控除額の計算

事業専従者1人ごとに、次の①と②のうち、低い方の金額が控除額になります。

  1. 事業専従者が配偶者なら86万円、配偶者以外なら50万円
  2. 事業専従者控除をする前の事業所得などの金額 ÷(事業専従者の数+1)

例1:事業所得だけで、事業専従者は配偶者のみ

  • 控除前の事業所得:100万円
  • ②:100万円 ÷ 2(配偶者1人+1)= 50万円
  • ①86万円 > ②50万円 なので、控除額は 50万円

例2:事業所得と不動産所得(事業的規模)があり、事業専従者は配偶者のみ

  • 控除前の所得:事業所得100万円、不動産所得50万円
  • 配偶者の従事割合:事業所得60%、不動産所得40%
  • ②:(100万円+50万円)÷ 2 = 75万円
  • ①86万円 > ②75万円 なので、控除額は 75万円
  • 内訳:事業所得から45万円(75万円×60%)、不動産所得から30万円(75万円×40%)

従事割合がわからない場合は、均等に分けます。また、不動産所得が事業的規模でない場合は、全額を事業所得から差し引きます。

例3:事業所得は長男が、不動産所得(事業的規模)は配偶者が手伝っている場合

  • 控除前の所得:事業所得130万円、不動産所得50万円
  • ②:(130万円+50万円)÷ 3(配偶者・長男の2人+1)= 60万円
  • 長男:①50万円 < ②60万円 なので 50万円(事業所得の必要経費)
  • 配偶者:①86万円 > ②60万円 なので 60万円(不動産所得の必要経費)

事業専従者の要件

事業専従者に当たるには、次のすべてを満たす必要があります。

  1. 白色申告者と生計を一にする配偶者、またはその他の親族であること
  2. その年の12月31日時点で15歳以上であること
  3. その年を通じて6か月を超える期間、白色申告者の事業にもっぱら従事していること

青色事業専従者給与との違い

事業専従者控除(白色) 青色事業専従者給与(青色)
税務署への届出 不要(確定申告書に記載が必要) 事前の届出が必要
経費になる金額 上の計算式で決まる金額(上限86万円・50万円) 届け出た範囲内で、実際に支払った適正な給与
実際の給与の支払い 関係ない 必要
従事期間の例外 なし(年の途中で廃業した場合なども、6か月を超えて従事していないと使えない) 年の途中で開業・廃業した場合などは、従事できた期間の2分の1を超えていればよい
社長

白色申告で、家族に実際に給与を払っていた場合、その給与は経費にならないのですか?

税理士

はい。実際に払った給与の額は経費にならず、受け取った家族の給与所得にもなりません。経費になるのは、あくまで計算式で決まる事業専従者控除の額だけです。

なお、働いた対価として受け取った給与であれば、贈与税がかかることもありません。ただし、働きに見合わない高額な金額を受け取っている場合は、贈与とされる可能性があります。

また、事業専従者控除の対象にした家族については、配偶者控除・配偶者特別控除や扶養控除を受けることはできません。

まとめ

事業専従者控除は、青色事業専従者給与と比べると、家族に所得を分けることによる節税の効果は大きくありません。白色申告では、赤字を翌年以後に繰り越せる「純損失の繰越控除」などの特典も受けられないので、きちんと帳簿をつけて、青色申告にすることをおすすめします。

※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。