法人税
税務でいう「寄付金」とは?寄付の場合の「時価」
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資産をタダであげたり、時価より安く売ったりすると、税務上は「時価で売って、その代金を寄付した」と考えます(「無償の役務の提供、低額の譲渡・貸付・役務の提供」参照)。では、その「時価」は、実際にはどうやって決めればよいのでしょうか。資産の種類ごとに、目安となる考え方を解説します。
この記事のポイント
- 時価とは、第三者どうしが自由に取引したときに成り立つ価額のことです。
- 商品は通常の販売価格、土地は公示価格や路線価をもとにした価額が目安になります。
- 建物や車などは帳簿価額を目安にできますが、市場で高く売れるものは見積りをとっておくと安心です。
税務でいう「時価」とは
税務では、時価を「不特定多数の当事者の間で、自由な取引が行われる場合に成り立つと認められる価額」と考えています。
意味はなんとなくわかりますが、結局いくらにすればよいのかは、わかりにくいですね。
おっしゃるとおりです。「誰が見てもこれが時価」という金額は、実際にはありません。ただ、この考え方から、「この金額を使えば妥当だろう」という目安は、資産の種類ごとに考えることができます。
商品などの棚卸資産
商品や製品などの棚卸資産は、定価や通常の販売価格が時価の目安になります。いつも値引きして売っている商品であれば、値引き後の金額が通常の販売価格です。
季節遅れの商品や、汚れのある商品などは、実際に売るときもかなり値引きしているはずなので、その値引き後の金額を時価と考えて大丈夫です。
土地
土地には定価がないので、時価を出すのがより難しくなります(不動産会社が販売用に持っている土地は商品なので、棚卸資産と同じ考え方です)。
土地の価格の目安には、次のようなものがあります。
| 目安 | 特徴 |
|---|---|
| 売買の実例 | 近くの取引事例。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で調べられるが、地域によっては事例が少ない |
| 公示価格 | 国が毎年公表する標準的な土地の価格。費用をかけずに調べられる |
| 路線価 ÷ 0.8 | 路線価は公示価格のおおむね8割とされているので、0.8で割り戻して公示価格の水準にする |
| 不動産鑑定士の評価額 | 費用はかかるが、特殊な形の土地や、土壌汚染があるなど個別の事情がある土地では、より実態に近い金額になる |
| 固定資産税評価額 | 路線価よりもさらに低く評価されていることが多く、あまり参考にならない |
特殊な事情のない土地であれば、公示価格や、路線価で評価した金額を0.8で割り戻した金額が、手間をかけずに使える妥当な目安になります。
建物・車両・備品などの減価償却資産
減価償却資産は、時価の算定がとても難しい資産です。中古業者の見積価格や、建物であれば不動産鑑定士の評価額が参考になります。
ただ、毎回見積りや鑑定をとるのは手間がかかるので、実務では、次の通達の考え方を準用して、**帳簿価額(未償却残高)**を時価とすることもあります。
法人税基本通達9-1-19(減価償却資産の時価)より(抜粋)
法人が、令第13条第1号から第7号まで(有形減価償却資産)に掲げる減価償却資産について次に掲げる規定を適用する場合において、当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時からそれぞれ次に掲げる時まで旧定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは、これを認める。
(注)定率法による未償却残額の方が旧定率法による未償却残額よりも適切に時価を反映するものである場合には、定率法によって差し支えない。
赤字のために減価償却をしてこなかった資産の場合は、帳簿価額をそのまま使うのではなく、通常どおり減価償却をしていたとした場合の未償却残高を時価とします。
償却が終わって帳簿価額が1円になっている資産なら、時価も1円にしてよいのですか?
資産によります。かなり古くても市場で高く売れる車や建物などの場合、1円を時価とするのは問題があると思います。リスクを避けるためにも、中古業者の見積りなどをとっておくと安心です。
まとめ
| 資産 | 時価の目安 |
|---|---|
| 商品・製品 | 定価や通常の販売価格(値引き後の価格も可) |
| 土地 | 公示価格、路線価 ÷ 0.8、売買の実例、不動産鑑定士の評価額 |
| 建物・車両・備品 | 中古業者の見積り、不動産鑑定士の評価額、通常どおり償却した場合の帳簿価額 |
特に、役員や親族、関係会社との取引では、時価の根拠を説明できるようにしておくことが大切です。寄付金の基本的な考え方は「税務でいう「寄付金」とは?」で解説しています。
※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。