法人税
役員でもボーナスをもらいたい!そんな時は「事前確定届出給与」を活用する。
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役員報酬は、毎月同じ金額を支給する「定期同額給与」が基本ですが、役員にもボーナスを支給したいことがあります。そんなときに使えるのが「事前確定届出給与」です。仕組みと、気をつけたいポイントを解説します。
この記事のポイント
- 役員へのボーナスは、事前に時期と金額を決めて税務署に届け出れば、損金にできます。
- 届け出た金額と1円でも違う金額を支給すると、原則として全額が損金になりません。
- 届出の期限は、法人税の申告期限より後になることが多いので、出し忘れに注意しましょう。
役員の給与は、原則として損金にならない
役員への給与は、支払えば当然に損金になるわけではありません。法人税法では、次のいずれかに当たらない役員給与は、損金にならないとされています。
- 定期同額給与:毎月同じ金額を支給する給与
- 事前確定届出給与:あらかじめ決めた時期に、決めた金額を支給する給与
- 業績連動給与:業績に連動して支給する給与(中小企業では、ほとんど使われません)
法人税法 第34条第1項(役員給与の損金不算入)より(抜粋)
内国法人がその役員に対して支給する給与(中略)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
事前確定届出給与とは
中小企業で、金銭でボーナスを支給する場合のポイントは、次の3つです。
- 所定の時期:たとえば株主総会で「12月10日に支給する」と決めた場合の、12月10日
- 確定した額:たとえば株主総会で「50万円を支給する」と決めた場合の、50万円
- 支給する旨の定め:1と2を、株主総会などで決議すること
決めるだけでなく、届出が必要
株主総会で時期と金額を決めるだけでなく、その内容を記載した「事前確定届出給与に関する届出書」を、期限までに税務署に出す必要があります。届出が不要なのは、同族会社でない会社が、定期給与を受けていない非常勤役員などに金銭で支給する場合だけです。
届出の期限
届出の期限は、次のうち早い方の日です(法人税法施行令第69条第4項)。
- 株主総会などで決議をした日(職務の執行を始める日の方が遅ければ、その日)から1か月を経過する日
- 事業年度開始の日から4か月を経過する日
新しく設立した会社が、設立時の役員について定める場合は、設立の日から2か月を経過する日が期限です。
例:3月決算の会社が、5月25日の株主総会で決議した場合
- 決議の日から1か月を経過する日:6月25日
- 事業年度開始(4月1日)から4か月を経過する日:7月31日
- 早い方の 6月25日 が届出の期限です。
また、役員の急な病気や死亡などで、ほかの役員が代表取締役になったなど、臨時の改定があった場合は、その事由が生じた日から1か月を経過する日が期限です。
よくあるご質問
届け出た金額より多く支給したら、届け出た金額までは損金になりますか?
なりません。届け出た金額と実際に支給した金額が違うと、「定めどおりの支給」ではなくなるので、原則として支給額の全額が損金になりません。少なく支給した場合も同じです。
法人税基本通達9-2-14(事前確定届出給与の意義)より(抜粋)
例えば、同号の規定に基づき納税地の所轄税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合にはこれに該当しないこととなり、原則として、その支給額の全額が損金不算入となることに留意する。
年に何回まで支給できますか?
回数の制限はありません。ただし、毎月支給するのであれば、定期同額給与として設定すれば足ります。
資金繰りの都合で、届け出た日に払えそうにありません。未払いにしてもよいですか?
専門書の中には、一時的な未払いなら認められるという見解もあります。ただ、少なく支給しただけでも全額が損金にならないという厳しい要件からすると、未払いで済ませるのは難しいと考えます。
複数回支給する届出をして、1回だけ届出どおりにできなかった場合は?
原則として、その職務執行期間(定時株主総会から次の定時株主総会まで)のすべての支給が、定めどおりに行われたかで判断します。1回でも違えば、その期間に支給した全額が損金になりません。
ただし国税庁の質疑応答事例では、3月決算の会社が、12月の支給は届出どおり行い、翌事業年度の6月の支給だけが届出と違った場合は、12月の支給分は損金にしてよいとされています。翌事業年度の支給が違っても、すでに終わった事業年度の所得には影響しないからです。
届出をしたけれど、一度も支給しなかった場合は?
支給していないので、もちろん損金にはなりません。届出をしたからといって、必ず支給しなければならないわけでもありません。
届出の出し忘れに注意
届出書の期限は、法人税の申告期限より1か月ほど後になることが多く、出し忘れが起きやすいところです。期限ぎりぎりではなく、早めに支給の時期と金額を決めて、法人税の申告書と一緒に出すなどの工夫をしておくと安心です。
まとめ
事前確定届出給与は、支給の回数を増やすほど、1回支給できなかっただけで全額が損金にならなくなるリスクが高まります。利用する場合は、たとえば決算月に1回だけ設定しておき、業績がよければ支給、悪ければ支給しない、というシンプルな形にしておくのも一つの方法です。
なお、役員へのボーナスにも、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)がかかります。役員報酬と役員賞与の組み合わせによって、会社と社長個人の税金・社会保険料の合計がどう変わるかは、当事務所の「法人・個人最適化シミュレーター」で試算できます。毎月の役員報酬の注意点は「定期同額給与の否認リスク対策」で解説しています。
※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。