資産税

権利金を受け取って譲渡所得となる場合とその理由

(更新 )

土地を貸して権利金を受け取った場合、原則は不動産所得ですが、一定の場合には、土地を売っていないのに「譲渡所得」になります。どんな場合に譲渡所得になるのか、その理由とあわせて解説します。

この記事のポイント

  • 権利金は、原則として不動産所得です。
  • 建物を建てるための借地権の設定で、権利金が土地の更地価額の2分の1を超えると、譲渡所得になります。
  • 不動産所得になる場合も、臨時所得に当たるかどうかを確認しましょう。

貸しているだけなのに、なぜ譲渡所得になるのか

権利金が譲渡所得になる可能性があるのは、借地権などの設定の対価として権利金を受け取る場合です。借地権とは、建物を建てるために他人の土地を利用する権利のことです。

社長

土地を貸しているだけなのに、売ったことにされるのはなぜですか?

税理士

土地の価値を考えてみるとわかりやすいです。更地の土地には、自分で家を建てて住む、売る、人に貸す、という価値があります。

ところが借地権を設定すると、借主がその土地に家を建てたり、アパートを建てて貸したり、借地権そのものを売ったりできるようになります。

借地権を設定すると、土地の所有者は次のような状態になります。

  • 自分でその土地に家を建てられなくなる
  • 自分でその土地にアパートを建てて貸すこともできなくなる
  • 土地を売ることはできても、価値が大きく下がっていて売りにくくなる

つまり、実際には売っていなくても、土地の価値の大部分が借主に移ってしまうことになります。そのため税務では、一定の場合に「土地を譲渡したものとみなす」扱いにしているのです。

譲渡所得になる場合

ただし、借地権の設定で権利金を受け取れば、必ず譲渡所得になるわけではありません。譲渡所得になるのは、次の場合です。

  • 建物や構築物を所有するための借地権の設定で、権利金を受け取ったこと
  • 権利金の額が、その土地の更地としての価額の2分の1を超えること

建物の一部を所有するための借地権の場合は、土地の価額を床面積の割合で按分して判定します。

また、権利金の額が、その借地権の設定で受け取る地代の年額の20倍以下であれば、譲渡には当たらないと推定されます。

所得税法施行令 第79条(資産の譲渡とみなされる行為)より(要約)

建物や構築物の所有を目的とする借地権などの設定のうち、その対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるものは、資産の譲渡とみなす。

3 借地権又は地役権の設定の対価として支払を受ける金額が当該設定により支払を受ける地代の年額の20倍に相当する金額以下である場合には、当該設定は、同項の行為に該当しないものと推定する。

2分の1以下なら不動産所得

権利金が更地価額の2分の1以下の場合は、原則どおり不動産所得になります。

この場合、権利金の金額によっては、不動産所得の中の「臨時所得」に当たることがあります。臨時所得に当たれば、平均課税という方法で税負担を和らげられる場合があります。くわしくは「家賃を複数年分もらった場合|見積経費と臨時所得」をご覧ください。

まとめ

  • 権利金は、原則として不動産所得として収入に計上します。
  • 不動産所得になる場合は、臨時所得に当たるかどうかを確認します。
  • 建物などを所有するための借地権の設定の対価で、土地の更地価額の2分の1を超える権利金は、譲渡所得になります。

権利金のほか、礼金や更新料、敷金などの計上時期は、「敷金、保証金、更新料等の収入計上時期」で解説しています。

※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。