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小林税理士
今回は、アパート経営をされている方向けに、家賃はいつ計上するのかについてお話させていただきます。

個人の場合

原則は契約上の支払日

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小林税理士
個人の場合の家賃収入の計上時期は、契約上の支払日が原則です。
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社長
わかづらいんだけど、どういうこと?
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小林税理士
例えば賃貸借契約書で「乙は毎月末までに翌月分を甲の指定する銀行口座宛に支払う」などといった文言が記載されているかと思います。
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小林税理士
この場合、5月分の家賃は4/30までに支払うことになるので、5月分の家賃収入は4/30に計上することになります。
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社長
じゃあ、令和2年1月分の家賃は、令和元年12月の家賃収入ってこと?
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小林税理士
はい。ですので確定申告では来年1月分の家賃収入まで今年の収入に入れることになります。
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社長
じゃあ、逆に今年の1月分家賃は去年の収入になってるから、今年は収入に入れなくていいんだよな?
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小林税理士
はい、そうゆうことになります。

支払日が契約に定められていなければ支払いを受けた日

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社長
でも、口約束だけで貸してるとか、契約書に家賃の支払日が定めてない場合はどうなるんだ?
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小林税理士
その場合は、実際に家賃の支払いを受けた日か、請求したらそれに基づいて家賃を支払うとされている場合には、請求した日が家賃収入の計上時期となります。

入金なかったから計上しないは、間違い

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小林税理士
ただ、通常は契約書を取り交わしていると思ますし、その契約書に家賃の支払日に関することも記載されていると思います。
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小林税理士
ですので、入金がなかったから家賃収入に計上しないっていうのは間違いとなります。
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社長
滞納してても収入に計上するっていうのはキツイな。
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小林税理士
そうですね。長期間滞納されると実際には家賃収入はないのに税金はかかることになるので、資金繰りもキツクなってしまいますよね。

所得税基本通達36-5(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)
 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に、掲げる日によるものとする。
 (1)契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日 支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があつたときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)
 (2) 省略

法人の場合

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小林税理士
個人の場合は、原則契約上の支払日でしたが、法人の場合には、これとは異なる取り扱いとなっていて、原則貸付期間の経過に応じて益金に算入(収入に計上)することになります。

前受の経理が必要

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小林税理士
なので、5月分家賃を4/30までに支払うとされている場合、4/30に受け取った家賃は「前受家賃」ということになり、その時点(4/30)では、益金になりません。
法人と個人の違い

翌月分家賃を当月末日に支払う契約になっている場合
例)5月分家賃
個人・・・4/30に収入計上(入金がなくても)
法人・・・4/30の時点では、前受家賃。
     5月に入って、前受家賃/受取家賃〇〇の処理をする。

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社長
法人と個人とでは、家賃の収入計上時期が一月ズレるんだな。
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社長
でも何で、個人と法人とで家賃収入の計上時期が変わるんだ?
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小林税理士
まあ、個人で賃貸経営をされている方なんかは、会計の知識があまりなく、きちんと会計の原則に基づいて記帳するっていうのは難しいというのも理由の一つとしてあります。
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社長
じゃあ、ちゃんと会計の原則に基づいて帳簿がつけられるなら、法人と同じ扱いも出来るのか?
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小林税理士
ええ。
それでも、その不動産所得が事業的規模か事業的規模以外かで若干取り扱いが異なります。
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小林税理士
前受・未収の処理をしている場合の所得税の家賃収入計上時期については、次回お話させていただきます。