日当について、よくあるギモン

手当として支給しても基本的に課税されない日当について。

今回は、日当にまつわるさまざまなギモンについてお答えいたします。

ちなみに前回までの日当に関する記事はこちら

https://kobayashitax-ac.com/所得税関係/nittou1

今回は、中小企業でも利用される「日当」について、非課税となる理由、課税となってしまう場合などについてご説明させていただきます。そもそも日当って何？小林税理士社長！社長の会社って日当って支給しているんですか？社長支給してないよ。いろいろ規程作ったり面倒なんだろ？小林税理士そんなに大した手間ではないですよ。社長でもメリットがあるのって従業員だけだろ？小林税理士そんなことないですよ。役員にも支給できますし、社長にもメリットありますよ。社長何だそうだったのかよ。じゃあ、何から始めりゃいいんだ？社長そ...

小林誠税理士事務所

日当の支給。いくら位が妥当か。

https://kobayashitax-ac.com/所得税関係/nittou2

前回は、日当が非課税となる理由や非課税となる通常必要と認められる金額についての判定の基準となる考え方などについてご説明させていただきました。今回は、日当を支給する場合の出張旅費規程を作成する際のポイントについてご説明させていただきます。小林税理士社長、今日は日当を支給するために必要な出張旅費規程について見ていきます。社長でも、規程とか作るのって、かなり面倒じゃないのか？小林税理士そんなことないですよ。今は、「旅費規程　雛形」とかで検索すれば、いくらでも雛形は見つかりますし、その中で自分の会社...

一人会社でも適用あるの？

社長

従業員がいない、社長ひとりの会社でも日当って、支給していいのか？

小林税理士

今は一人でも、将来的に雇用する可能性があれば、従業員がいるものとして出張旅費規程を作って、その規程に基づいて支給されるのであれば問題ありません。

個人事業主でも日当もらっていいの？

社長

個人事業主でも日当ってもらっていいのか？

小林税理士

個人事業主は、給与所得者じゃないので日当って支給出来ないんですよ。

所得税法　第9条(非課税所得)
1項
　◆４　給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの

小林税理士

こちらの条文を見てみると、「給与所得を有する者が」となっているので、社長は役員報酬なので給与所得ですが、個人事業主の所得は給与所得ではなく、事業所得になるのであてはまらないんです。

社長

何か損した気分になるよな。

小林税理士

ええ、そうですね。僕も個人事業主なんで。

結果的に社長しかもらってなくても大丈夫か？

社長

出張旅費規程には、全従業員がもらえるようになってはいるが、実際には社長くらいしか出張していなくても日当ってもらちゃっていいのか？

小林税理士

出張旅費規程上は、全従業員がもらえることになっていれば、結果的に社長しか出張がなかったとしても日当をもらうことに問題はありません。

月額定額の日当にして大丈夫？

社長

出張旅費規程は作ったんだけど、日当の支給額の計算をするのが面倒なので、毎月10万円とか定額で支給することはできないのか？

小林税理士

それはダメです。それだと実費精算的なものではなく、通常の給与として支給する手当と実質変わらなくなってしまうので、非課税とはなりません。

社長

面倒でも、出張の日数に応じて日当を計算して支給するということにしないといけないんだな。

小林税理士

はい。

もう既に定額で支給しちゃってるんだけど・・・

社長

定額で支給しちゃってた場合、どうなるんだ？

受け取った役員・従業員

小林税理士

定額で受け取った役員・従業員は、非課税にならなくなるので所得税・住民税がかかることになってしまいます。

支払った法人側

従業員の場合

小林税理士

一般の従業員の場合には、給与として損金に算入されます。

役員の場合

小林税理士

役員の場合には、定期同額給与にあたってしまうので、支払った定額日当は、原則損金に算入されません。

小林税理士

ただ、業務執行期間中同額の日当を支給し続けた場合には、損金に算入出来る可能性はあります。
詳しくは、下記をブログを御覧ください。

小林誠税理士事務所

定期同額給与の否認リスク対策

https://kobayashitax-ac.com/法人税関係/定期同額給与の否認リスク対策

以前、役員の定期同額給与についてお話させていただきました。その際の記事がこちら過大役員報酬前回の記事では触れませんでしたが、定期同額給与の要件を満たしていたとしても株主総会で決めた金額を超えて支給している場合には、超えた部分の金額は損金には算入されません。どうゆうことかというと、例えば株主総会で月額30万円と決議したが、実際には毎月40万円払っていた。このようなケースですと、毎月40万円払っているので「所定の時期に同額の支給」で一見、定期同額給与の要件を満たしそうですが、株主総会で決めた30...

消費税の取扱

小林税理士

また、給与扱いになった場合には、支払った金額は課税仕入れにはなりません。

日当を払ったときの経理処理は？

社長

日当を払ったら、経理処理するとき勘定科目は何費になるんだ？

小林税理士

仮に支払い金額が5万円とすると
出張手当については、交通費・宿泊料・日当を含めて

(借方)旅費交通費50,000/(貸方)現金預金50,000
となります。

小林税理士

出張手当の金額を帳簿上管理しておきたい場合は、補助科目や品目(freeeの場合)設定しておくとよいです。

仮払いがあったときの経理処理は？

社長

事前に仮払いがあったときの経理処理はどうするんだ？

小林税理士

この場合は、5万円を仮払いをした時に

(借方)仮払金50,000/(貸方)現金預金50,000

として処理します。

小林税理士

出張から戻ってきて精算時に、仮に出張費が6万円だったとした場合には

(借方)旅費交通費60,000/(貸方)仮払金50,000
　　　　　　　　　　　(貸方)現金預金10,000
として差額を精算します。　　　　

社長

仮払いの金額の方が多かったらどうする？

小林税理士

その場合は、仮に5万円仮払いをして、実際の出張費は4万円だったら

(借方)旅費交通費40,000/(貸方)仮払金50,000
(借方)現金預金　10,000
と差額を返してもらいます。

払った日当って消費税はかかるの？

社長

経理処理で、消費税はどう処理するんだ？

小林税理士

消費税の取扱は、国内出張の場合には「課税仕入れ」という扱いになります。
海外出張の場合には、原則課税仕入れにはなりません。

　消費税基本通達１１－２－１（出張旅費、宿泊費、日当等）
　役員又は使用人（以下「使用人等」という。）が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族（以下１１－２－１において「退職者等」という。）がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。
　（注）１　「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」の範囲については、所基通９－３《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する。
　　　　２　海外出張のために支給する旅費、宿泊費及び日当等は、原則として課税仕入れに係る支払対価に該当しない。