法人税
税務でいう「寄付金」とは?無償の役務の提供、低額の譲渡・貸付・役務の提供
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税務でいう「寄付金」は、寄付をしたつもりがなくても、取引の内容によって寄付金とされてしまうことがあります。この記事では、タダでサービスを提供した場合や、時価より安く売った場合の考え方を解説します。
この記事のポイント
- タダで事務所を貸したりお金を貸したりすると、本来の対価を受け取って、それを相手に寄付したと考えます。
- 時価より安く売った場合も、実質的に贈与したと認められる部分は寄付金になります。
- 問題になりやすいのは、親会社と子会社、会社と役員の親族など、特別な関係がある取引です。
寄付の意識がなくても寄付金になる取引
税務上、次のような取引は、寄付金とされる可能性があります。
- 資産の低額譲渡・低額貸付
- 無償・低額でのサービス(役務)の提供
- 資産の高価買入れ・高額での借入れ
- 高額なサービスの支払い
- 債権放棄・債務免除、債務の無償引受け
ただし、これらの取引をしたら必ず寄付金になる、というわけではありません。寄付金になるのは、実質的に贈与または無償の供与をしたと認められる金額がある場合だけです。
法人税法 第37条(寄附金の損金不算入)第8項
内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
タダでサービスを提供した場合
たとえば、通常なら月100万円の家賃がとれる事務所を、タダで貸したとします。この場合、税務上は次のように考えます。
- 本来の家賃100万円を受け取った(受取家賃 100万円)
- 受け取った100万円を、借りた相手に寄付した(寄付金 100万円)
結果として、貸した側には100万円の受取家賃(収益)と100万円の寄付金が計上されます。寄付金には損金にできる限度額があるので、仮に全額が損金にならないとすると、タダで貸した側に100万円の所得が生じることになります。借りた側は、支払家賃(費用)と受贈益(収益)が同額なので、課税は生じません。
タダで貸しているのに、貸した側に税金がかかるのは納得しにくいですね。
そう感じますよね。ただ、寄付金を無制限に損金にできると、何が起きるかを考えてみると理由がわかります。
なぜ寄付金は損金にできる額が限られているのか
10万円で仕入れた商品(売値15万円)を、タダで人にあげた場合で考えてみます。税務上は、15万円で売って、その15万円を寄付したと考えます。
もし寄付金が全額損金になるとすると、所得は「売上15万円-仕入10万円-寄付金15万円=マイナス10万円」となり、寄付によって所得が減ります。所得が減れば税金も減るので、結果として、国が寄付の一部を負担しているのと同じことになってしまいます。
これでは、寄付を使って簡単に税金を減らせてしまうため、寄付金は損金にできる額に限度が設けられているのです。
時価より安く売った場合
では、資産をタダであげる代わりに、時価よりかなり安い値段で売ったらどうなるでしょうか。
たとえば、3,000万円で買った土地(時価3,000万円)を、事業と関係のない知り合いに1,000万円で売ったとします。
- 土地の売却損:3,000万円-1,000万円=2,000万円
もしこの2,000万円の売却損がそのまま損金になると、実質的には3,000万円分の土地を渡しているのに、税金の計算上はほとんど寄付として扱われないことになります。
そこで、この取引は「土地の売買」という形をとっていても、時価との差額2,000万円は実質的に贈与したものと考えて、寄付金として扱われます。これが、先ほどの法人税法第37条第8項の考え方です。低額での貸付けや、低額でのサービスの提供も、考え方は同じです。
安く売ったら必ず寄付金になるわけではない
いくらで売るかは、本来その会社の自由です。資金繰りのために急いで安く売ったり、維持費がかかる遊休資産を手放すために値下げしたりすることは、よくあります。
時価より安く売ったというだけで寄付金になるわけではなく、問題になるのは、実質的に贈与したと認められる金額がある場合です。全くの第三者との取引であれば、基本的に問題になることはありません。
贈与のつもりがなくても判断される
注意したいのは、寄付金かどうかの判断に、本人に贈与のつもりがあったかどうかは関係しないという点です。贈与の意思がなくても、実質的に贈与したと認められる金額があれば、寄付金とされる可能性があります。
寄付金とされないために
問題になりやすいのは、親会社と子会社の間や、会社と役員の親族の間など、特別な関係がある相手との取引です。こうした相手と、時価と違う金額で取引をする場合は、次の点をきちんと説明できるようにしておきましょう。
- なぜその金額で売った(貸した)のか
- 時価とかけ離れていないか
- かけ離れている場合、その理由は何か
理由を記録に残しておくのは手間ですが、思わぬ課税を受けないために大切な備えです。
寄付金の基本的な考え方は「税務でいう「寄付金」とは?」、時価の考え方は「寄付の場合の「時価」」、高く買った場合については「高額の譲渡・借入・役務の支払い」で解説しています。
※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。