法人税
広告宣伝費も交際費になる?
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「広告宣伝費と交際費は、まったく別のものでは?」と思われるかもしれません。ところが、取引先に物を配る場合などは、交際費に当たることがあります。広告宣伝費と交際費の違いを解説します。
この記事のポイント
- 一般消費者に向けたものは、広告宣伝費になります。
- カレンダーや手帳などの少額な物品は、取引先に配っても広告宣伝費になります。
- 自社の見本品・試用品は、得意先に渡しても交際費になりません。
なぜ広告宣伝費が交際費になるのか
税務上の交際費に当たるかどうかは、次の3つで判断します。
- 支出の相手が「事業に関係のある人」であること
- 目的が、その人との親睦や、取引を円滑に進めるためであること
- 接待、供応、慰安、贈答などの行為であること
たとえば、年始のあいさつ回りで、取引先に品物を配ったとします。取引先(事業に関係のある人)に、取引を円滑にするため(あいさつ)に、品物を贈った(贈答)ので、3つとも当てはまり、交際費になりそうです。
ところが実際には、社名入りのカレンダーやタオルなどの少額な物品であれば、交際費にはならないと定められています。このように、交際費から除かれる費用を知っておくことが大切です。
広告宣伝費になるもの
ポイントは「一般消費者」
広告宣伝費と交際費の区分については、次の通達があります。
租税特別措置法関係通達61の4(1)-9(広告宣伝費と交際費等との区分)より(抜粋)
不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するものは広告宣伝費の性質を有するものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。
(1) 製造業者又は卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するために要する費用又は一般消費者を旅行、観劇等に招待するために要する費用
(中略)
(4) 小売業者が商品の購入をした一般消費者に対し景品を交付するために要する費用
(5) 一般の工場見学者等に製品の試飲、試食をさせる費用(これらの者に対する通常の茶菓等の接待に要する費用を含む。)
(6) 得意先等に対する見本品、試用品の供与に通常要する費用
(以下略)
この通達のほとんどは、一般消費者に対するものです。一般消費者へのプレゼントや招待は、不特定多数への宣伝なので、広告宣伝費になります。
逆に、通達の「一般消費者」を「取引先」「仕入先」「外注先」「従業員」に置き換えてみると、交際費に当たりそうだとわかるのではないでしょうか。
なお、通達の(注)では、医薬品メーカーにとっての医師や病院、化粧品メーカーにとっての美容室など、その業種の専門家は一般消費者に当たらないとされています。
見本品・試用品は得意先に渡してもよい
(6)だけは、相手が「得意先等」になっています。得意先に見本品を渡すのは、交際費の3つのポイントすべてに当てはまりますが、自社の見本品や試用品で、通常必要な範囲の費用であれば、交際費にはなりません。
カレンダーなどの少額な物品
法令でも、次のような費用は交際費から除かれています。
租税特別措置法施行令 第37条の5第2項より(抜粋)
1 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
2 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用(以下略)
取引先に配るものでも、カレンダーや手帳などの少額な物品であれば、交際費ではなく広告宣伝費になります。会議の茶菓や弁当については「交際費と会議費との違いは?」で解説しています。
交際費に当たると、どうなる?
資本金1億円以下の中小企業であれば、交際費は年間800万円まで損金にできます。年間800万円も交際費を使う会社は多くないので、広告宣伝費が交際費とされても、法人税への影響はほとんどないでしょう。
高額な物品は資産になることも
少額な物品は広告宣伝費になりますが、高額な物品を配る場合は、扱いが変わります。
| 配る物品 | 扱い |
|---|---|
| 社名や商品名が入ったもの(陳列棚や看板など、相手の事業で使う資産) | 繰延資産として、数年にわたって損金にする(1つ20万円未満なら、全額をその期の損金にできる) |
| 宣伝目的ではない高額な物品 | 交際費や寄付金などになる |
繰延資産になると、全額をその期の損金にはできません。寄付金になると、ほとんど損金にならないこともあります(「税務でいう「寄付金」とは?」参照)。
まとめ
広告宣伝費になるかどうかの判断のポイントは、次の3つです。
- 一般消費者に対するものかどうか
- カレンダーなどの少額な物品かどうか
- 自社の見本品・試用品かどうか
従業員との飲食については、「従業員等の飲み福利厚生費で大丈夫?」もあわせてご覧ください。
※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。