今回は、給与の支給人員が常時10人未満の中小企業に利用されている源泉所得税の納期の特例について、その特例に基づく納付書の書き方をわかりやすくご説明いたします。
目次
納期の特例の納付書の書き方

社長、源泉所得税の納期の特例を受けている会社は、もうすぐ納期限ですけど納付済ませました?

何だ納期の特例って?

役員報酬や給与の支給人員が常時10人未満の会社や個人事業主で、事前に税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」という書類を提出している場合、源泉所得税の納付が7月と1月の年2回になる制度のことです。

給与の源泉の話か?

そうです。

常時10人未満って。うち1,000名超えだが?

へえ~、すごいっすね~。

適当に流すなよ!(笑)

つい最近、税理士との契約解除しちゃったから、まだ何もやってないんだよ。自分でやんないとなー。

やっぱりやってなかったですか。
書き方お教えいたしましょうか?
書き方お教えいたしましょうか?

ああ、頼むよ。

わかりました。
では、この納付書を見てください。
では、この納付書を見てください。


各項目に番号が振ってあるが、これをもとに説明してくれるのか?

はい。
では早速、①ですが、こちらは平成31年4月1日から令和2年3月31日までの間に納付されるのであれば、「31」を記載してください。
では早速、①ですが、こちらは平成31年4月1日から令和2年3月31日までの間に納付されるのであれば、「31」を記載してください。

続いて②ですけども、社長、会社の整理番号ってわかりますか?

整理番号?わかんねーな。どこを見ればわかる?
法人税の申告書とか見ればわかるか?
法人税の申告書とか見ればわかるか?

法人税の申告書を紙で提出していた頃は、整理番号を記載していたんですけど、今は電子なので申告書の控えに整理番号記載してないのでわかんないんですよね。

前回納付したときの納付書の控えって保存してるんじゃないですか?

ちょっとあとで探してみるわ。
支払年月日

では続いて③の「納期等の区分」ですが、今回は1~6月支払い分を納めますので、上の段に「31」と「01」と記載し、下の段は令和になってますので「01」と「06」と記載してください。

要は、平成31年01月~令和01年06月っていうふうになればいいんだな?

はい。
続いて④なんですけど、先程の③の期間中に最初に支払った日と最後に支払った日を記載してください。
続いて④なんですけど、先程の③の期間中に最初に支払った日と最後に支払った日を記載してください。

例えば、給与の支払いが毎月25日払だったら、
「平成31.01.25~06.25」というような感じです。
「平成31.01.25~06.25」というような感じです。

じゃあ、⑧や⑫も同じか?

ええ、基本的には同じです。
ただ、1回だけの支払いの場合には、左側の年月日の記載だけで大丈夫です。
ただ、1回だけの支払いの場合には、左側の年月日の記載だけで大丈夫です。

例えば賞与の支払いが、3/31日にあったとしたら、
「平成31.03.31~右側空白」という感じです。
「平成31.03.31~右側空白」という感じです。
人員

続いて人員のところを見ていきます。
まず⑤ですが、こちらは延べ人数を記載してください。
まず⑤ですが、こちらは延べ人数を記載してください。

各月の支給人数の合計ってことでいいんだな?

はい、⑨と⑬も同じです。
支給額

続いて、⑥の支給額ですが、こちらは1~6月中に支給した役員報酬・給与の金額の合計額を記載してください。
⑩は従業員の賞与のみ記載してください。
⑩は従業員の賞与のみ記載してください。

役員の分は?

役員に賞与を払っているのであれば⑭の下に「役員賞与」の欄がありますのでそちらに記載してください。

給与の金額は、社会保険や所得税などを引く前の金額です。いわゆる額面です。

⑭の「税理士等の報酬」には、税理士の他に何が入るんだ?

税理士の他には、社会保険労務士・弁護士・司法書士・公認会計士・測量士・建築士などがあります。

行政書士なんかは入らないのか?

理由はわからないですけど行政書士は入ってないんですよ。

支払った報酬は、税抜きの金額を記載するのか?

消費税込みの源泉所得税を引く前の金額になります。

司法書士の方への支払額は、登録免許税などの立替金も含んでいることが多いので、請求書を確認していただいて報酬部分のみ記載してください。

司法書士への支払いについては、請求書を確認するんだな。

あと、税理士や社会保険労務士なども税理士法人や社会保険労務士法人などのように「〇〇法人」となっている場合には、源泉所得税は徴収していないので記載は不要です。

支払っている相手が個人か法人かの確認もするんだな。
税額

次に⑦の税額ですが、こちらは⑥支給額と同様1~6月中に支給した給与から徴収した源泉所得税の合計を記載してください。

⑥と⑦は、給与計算ソフトを利用させているようであれば給与ソフトで集計できると思います。

⑪と⑮も同様に1~6月中に支払った際に徴収した源泉所得税の合計を記載してください。

これで、⑦⑪⑮の合計が納税額になるんだな?

基本的にはそうなんですけど、前回の納付書を確認していただいて⑲の欄に何か記載されていないか確認してください。

なんか「年末調整還付未済額〇〇円」とか書いてあるそぞ。コレなんだ?

前回、年末調整の還付額を納付すべき税額から控除しきれなかった金額のことです。

前回引ききれなかったんで、今回の納付でその金額を⑯に記載して、差し引きます。

⑰は、⑦⑪⑮を足して⑯を差し引いた金額ってことでいいんだな?

そうです。
で、⑰の金額をそのまま⑱の合計額に記載していただければ完成です。
で、⑰の金額をそのまま⑱の合計額に記載していただければ完成です。
経理処理

これで完成か。で、いつまでに払うんだっけ?

7月10日までです。
ちなみに、7~12月までの分は翌年の1月20日までになります。
ちなみに、7~12月までの分は翌年の1月20日までになります。

おう、わかった。
で、これ経費で落ちるの?
で、これ経費で落ちるの?

預かったものを代わりに税務署に払うだけですので、経費では落ちませんよ。

経費になんないんだったら何になるんだ?

預り金勘定の残高が減少します。
なので、払った時は
(借方)預り金〇〇/(貸方)預金〇〇(又は現金)となります。
なので、払った時は
(借方)預り金〇〇/(貸方)預金〇〇(又は現金)となります。

あ、あと税理士や司法書士の報酬なんかで、源泉所得税預り金の計上漏れってよくあるので、帳簿を確認してみてください。

おお、いいこと聞いたわ。早速確認してみるわ。
自分で帳簿つけなきゃ聞けないから大変だよ。
自分で帳簿つけなきゃ聞けないから大変だよ。

え!社長。1,000名超えの会社なのに自分で帳簿つけてるんですか?

ほんと白々しいよな。。。