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空室や空家でも減価償却できるか?
小林税理士
賃貸経営をしていると、空室や空家になる期間って必ずと言っていいほどありますけど、この間に発生する減価償却費って必要経費になると思いますか?
社長
空室の間収入がないんだから、それに対応する経費もないと考えるのか。空室でも賃貸業を行っているんだから経費となるとも考えられるし、どっちなんだ?
いつでも貸せる状態にあるか
小林税理士
空家や空室の期間に減価償却費が計上できるかどうかのポイントは、いつでも貸せる状態にあるかどうかで判断することになります。
所得税基本通達2-16(現にか動していない資産)
不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供される令第6条(減価償却資産の範囲)に規定する資産は、現にか動していない場合であつても、これらの業務の用に供するために維持補修が行われており、いつでもか動し得る状態にあるときは、減価償却資産に該当する。(昭55直所3-19改正)
(注)他の場所においてこれらの業務の用に供するために移設中の資産については、その移設期間がその移設のために通常要する期間であると認められる限り、減価償却を継続することができる。
社長
じゃあ、前の入居者が退去して、業者の方にハウスクリーニングなんかしてもらっている間は貸せないけど、その場合はその期間減価償却出来ないってこと?
小林税理士
そこまで厳格なものじゃないです(笑)。
次の入居者に貸すために部屋の維持管理が必要で一時的に貸せない状態まで減価償却を認めないってことではないです。
次の入居者に貸すために部屋の維持管理が必要で一時的に貸せない状態まで減価償却を認めないってことではないです。
小林税理士
要は、入居者が退去した後、原状回復などが行われておらず、募集もしていないとかしていないなどであれば、減価償却費が認められない可能性があります。
不動産管理会社による募集広告は必要か?
社長
上の通達には、募集云々なんて書いてないんだけど。
小林税理士
確かに書いてはいないんですけど、「いつでも動かし得る状態」を客観的に判断するためであって、必ず必要というわけではないです。
社長
募集広告だしても、なかなか入居者が見つからないような築古のアパートなんかだったら、広告にお金かけたくない人もいるだろ?
小林税理士
それだったら、アパートの壁とかに「〇〇号室空室 入居者募集」みたいな看板などを作って、スマホなんかで定期的に写真を撮っておけば、お金をかけずに客観的に「いつでも動かし得る状態」であったと判断できるんじゃないでしょうか。
まとめ
空室や空家の期間減価償却できる場合
・その空室や空家の維持管理が行われていること
・入居者の募集を継続して行っていること