今回は、中小企業でも利用される「日当」について、非課税となる理由、課税となってしまう場合などについてご説明させていただきます。

そもそも日当って何?

avatar
小林税理士
社長!社長の会社って日当って支給しているんですか?
avatar
社長
支給してないよ。いろいろ規程作ったり面倒なんだろ?
avatar
小林税理士
そんなに大した手間ではないですよ。
avatar
社長
でもメリットがあるのって従業員だけだろ?
avatar
小林税理士
そんなことないですよ。役員にも支給できますし、社長にもメリットありますよ。
avatar
社長
何だそうだったのかよ。
じゃあ、何から始めりゃいいんだ?
avatar
社長
そもそも日当って、いまいちよくわかんねーよな。
どうゆうのが日当になるんだ?
avatar
小林税理士
日当とは、出張など仕事で外出した際、交通費や宿泊費以外にも発生する諸経費なんかの実費精算的なものを日当って言うんですよ。
avatar
社長
諸経費って例えば?
avatar
小林税理士
例えば、出張で宿泊した際の食事代やコンビニなどで飲み物や新聞なんかを買った場合なんかも諸経費にあたります。
avatar
社長
でも食事代なんて生活費なんだから給与になっちゃうんじゃないのか?
avatar
小林税理士
でも自炊している人にとっては、出張がなければ無駄な食事代という経費はかからなかったはずなので、それを実費精算的に取扱いをしているんです。

非課税の根拠

avatar
小林税理士
実費精算的な取り扱いなんで、所得税法でも非課税として給与課税にならない旨を規定しているんですよ。

所得税法 第9条(非課税所得)

1項

 ◆4 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの

avatar
社長
この条文に書いてある「旅行」ってなんだ?
avatar
小林税理士
ああ、これですか。
これは、一般的な旅行とは意味合いが違くて、「(勤務場所など)とは違う場所に行くこと」というような意味合いです。
avatar
社長
ああ、そうゆうことか。
で、通常認められるものであれば、給与扱いじゃなく非課税になるんだな?
avatar
小林税理士
はい。
avatar
社長
通常みとめられる部分以外の部分はどうなるんだ?
avatar
小林税理士
その場合には、基本的には給与課税ですが、人によって変わります。

 所得税基本通達9-4(非課税とされる旅費の範囲を超えるものの所得区分)
 法第9条第1項第4号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な支出に充てるものとして支給される金品の額が、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲の金額を超える場合には、その超える部分の金額は、その超える部分の金額を生じた旅行の区分に応じ、それぞれ次に掲げる所得の収入金額又は総収入金額に算入する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平22課個2-16、課法9-1、課審4-30改正)
 (1) 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するためにした旅行 給与所得
 (2) 給与所得を有する者が転任に伴う転居のためにした旅行 給与所得
 (3) 就職をした者がその就職に伴う転居のためにした旅行 雑所得
 (4) 退職をした者がその退職に伴う転居のためにした旅行 退職所得
 (5) 死亡による退職をした者の遺族がその死亡による退職に伴う転居のためにした旅行 退職所得(法第9条第1項第16号の規定により非課税とされる。)

avatar
社長
通常必要と認められる金額を超える場合には、超える部分だけ課税で、超えない部分は非課税でいいんだな?
avatar
小林税理士
はい。通常必要な金額を超えて支給されたかたらといって、全額が課税になってしまうということはありません。
avatar
社長
住民税や社会保険はどうなんだ?
avatar
小林税理士
当然、住民税も同じように非課税ですし、社会保険料についても日当部分は社会保険の計算にも含まれませんん。
ここでのポイント

・日当で「通常必要と認められる金額」は、所得税・住民税が非課税となる。
・社会保険料についても、保険料の計算の対象に含まれない。

通常必要と認められる金額とは?

avatar
社長
でも、そもそも通常必要と認められる金額って何なんだ?
avatar
小林税理士
具体的にいくらだったら認められるのかという、金額的な基準は法律上どこにも規定していないんですよ。
avatar
社長
じゃあ、どうやって金額設定したらいいんだよ。
avatar
小林税理士
金額の基準はないのですが、金額を決めるにあたっての考え方は、いちおう通達に規定しています。

 所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)
 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)
 (1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
 (2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

avatar
小林税理士
この通達でいうところの判定基準の1つ目は、
役員・従業員すべてが対象で、支給額にバランスがとれていることです。
avatar
社長
何だ支給額にバランスって?
avatar
小林税理士
簡単に言えば、例えば社長の日当は1日に付き1万円、他の役員は8千円、従業員は5千円などのように、全社員一律でなくても、職務内容に応じて差はついててもいいということです。
avatar
社長
じゃあ、俺1日2万で、従業員は1日1,000円な。
avatar
小林税理士
それだけ差がついたら、支給額にバランスを欠くことになってしまうんじゃないでしょうか。
avatar
社長
でもバランスっていわれてもよくわかんねーよな。
avatar
小林税理士
ええ。
で判定基準の2つ目は同業他社と比較して高額でないことです。
avatar
小林税理士
こちらの方がわかりやすいと思うます。
要は、他の会社と同じくらいであればいいということですので。
avatar
社長
そうだよな。
一般的な相場ってのもあるんだろうから、それに基づいて決めたほうが簡単だよな。
avatar
社長
じゃあ、早速規程を作って見ようかと思うんだけど、作り方教えてくれよ。
avatar
小林税理士
ええ。
ですが、説明が長くなるのでまた次回に。
ここでのポイント

・日当とは、出張などの際に発生した食事代などを実費精算的に支払うもの
・通常必要な範囲内での支給であれば、非課税とされる
・通常必要な範囲と認められる金額の判定基準は、
(1)全社員対象で、支給額にバランスがあること
(2)他社と比較して高額でないこと