はじめに

前回、交際費等に該当するのかどうかの判断基準として、3つのポイントをご説明させていただきました。前回の記事はこちら

とはいえ、実際の判断にあたって何が交際費等になって、何が福利厚生費になるのか、又は会議費になるのかなど他の費用の判断基準が知りたいのではないかと思います。

そこで今回は、交際費等とその周辺費用である会議費についてご説明させていただきます。

なぜ交際費と他の科目で判断を迷うのか

前回お話しましたが、交際費等の判断の基準となる3つのポイントは 、①事業に関係がある者などに対し②取引の円滑な進行を図る目的で③接待などの行為が行われたかということでした。

しかし、例えば自社で新たに発売する商品を得意先に見本品として提供した場合

事業に関係のある者(得意先)に、取引の円滑な進行を図る目的(新たに取引をしてもらうことを目的)として、見本品を提供(贈与)しているわけですから交際費等の要件を満たしてしまいそうな気がします。

この場合通達では、交際費等に含まれないとしています。つまり、判断基準はあるものの個別に判断するケースも結構あるのです。

ここでは、細かく一個一個の事例をお話することは出来ませんが、他の科目の判断基準をお話できればと思います。

交際費等に含まれない会議費とは

会議費については、政令で 「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用 」は交際費等から除外すると規定されています。

租税特別措置法施行令 第37条の5 (交際費等の範囲)
 法第61条の4第4項第2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項に規定する飲食費として支出する金額を当該飲食費に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額とし、同号に規定する政令で定める金額は、5000円とする。
 2 法第61条の4第4項第3号に規定する政令で定める費用は、次に掲げる費用とする。
 ◆1 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
 ◆2 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
 ◆3 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

さらに租税特別措置法通達では

61の4(1)-21(会議に関連して通常要する費用の例示)
 会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として措置法令第37条の5第2項第2号に規定する「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとする。(昭54年直法2-31「十九」、平6年課法2-5「三十一」、平19年課法2-3「三十七」により改正)
 (注)
 1 会議には、来客との商談、打合せ等が含まれる。
 2 本文の取扱いは、その1人当たりの費用の金額が措置法令第37条の5第1項に定める金額を超える場合であっても、適用があることに留意する。

上記政令及び通達のポイントをまとめると

①会議であること

当たり前ですが、会議費ですので会議があることが前提です。では、会議とは何か?税法上の定義はないので辞書で調べると会議とは、「関係者が集まって相談をし、物事を決定すること」で、通達で会議の中には商談や打ち合わせも含まれています。

ですので、メインは関係者と業務に関連することを話し合いということになります。関係者と飲食が目的で業務関連の話し合いがサブのような場合には交際費等ということになります。

②社内や通常会議を行う場所で行うこと

社内や通常会議を行う場所としては貸会議室がありますが、会議には打ち合わせなども含まれるとのことですから、カフェやファミリーレストランのような所でも一般的にちょっとした打ち合わせは行われているので通常会議を行う場所に含まれると解されます。

では、「うちでは通常居酒屋で会議を行っているから、通常会議を行っている場所になるのか?」という方もおられるかと思いますが、ここでいう通常とは、世間一般にというような解釈なので、通常飲食がメインの居酒屋などでは会議費というのは難しいと思われます。

③通常供与される昼食の程度を超えないこと

通常の昼食代程度であれば会議費で良いとのことですが、上記通達の最後に「
本文の取扱いは、その1人当たりの費用の金額が措置法令第37条の5第1項に定める金額を超える場合であっても、適用があることに留意する。 」とあります。これだと、会議費に該当するのであれば一人頭5,000円を超えるような昼食代であったとしても交際費等にならないという扱いになっています。

個人的な感覚からすると、通常の昼食代って500円~1,000円位ではないかと思うのですが。

おそらく高級ホテルなどでの会議で提供される食事は5,000円を超えることもあるかと思うので、5,000円を超えても会議費でよいとしていると思いますので、会議の実態があれば、上限なくいくら使っても良いと考えるべきではないと思います。

以上が会議費となるための判断基準です。つまりこの判断基準に該当しなければ交際費等(場合によってはその他の科目)になることになります。

よくある質問

Q1.夕食はOKなの?

A1.通達では、昼食代程度というふうになっていますが、早朝や夕方の会議の際に提供される食事であれば問題ありません。

Q2.社員同時のランチミーティングも会議費でいいの?

A2.上記会議費の判断基準に該当すれば会議費になるとも思えますが、いわゆるランチミーティングの場合、食事のついでに打ち合わせということのほうが多いのではないかと思います。そうなると交際費や給与となる可能性もあります。

会議の記録は必要

会議では議事録が作成されることがありますが、ちょっとした打ち合わせでは会議の内容を記録した書類などは作成していないのではないでしょうか?

そうすると、打ち合わせの際に支出した食事代の領収書は、これが交際費になるのか、会議費になるのか判断がつかないということになってしまいます。

ですので、後々の税務調査などで説明できるように「何の打ち合わせだったか」「誰と打ち合わせだったか」などわかるような書類の作成や帳簿への記録は必要です。

交際費等に該当するとどうなるの?

中小企業の場合、仮に会議費だと思っていたら税務上は交際費等に該当してしまったというような場合でも、

原則として資本金1億円以下の中小企業の場合は、

年間800万円までは、交際費等は税務上損金となります。

一般的な中小企業では、年間800万円も交際費を使うという会社は少ないと思いますので、仮に会議費が交際費等に該当してしまっても税務上は影響はないといえます。

今回は、交際費等と会議費の違いを説明するため、交際費等から除外される会議費とはどうゆうものかのご説明をさせていただきました。

他にも交際費等と寄付金の違いや交際費等と広告宣伝費の違いなども後日、ご説明させていただきたいと思います。