今回は、売掛金や貸付金が回収できなくなった場合の貸倒損失の基本についてお話させていただきます。

貸倒れが生じた場合とは?

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小林税理士
今回は、貸倒損失についてなんですが。
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社長
ああ、貸倒な。
もう明らかに回収できないのに貸倒で落とそうとすると、税理士事務所から「今期では落とせない」とか言われると腹立つんだよな。
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小林税理士
貸倒れって、ハッキリと貸倒が生じたってわかるものとわからないものがありますからね。
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社長
回収できないんだから、ハッキリと貸倒が生じてるだろ!
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小林税理士
まあ気持ちはわからなくはないですけど。
要は、どうゆう理由で回収出来なくなったのかによって判断が変わってくるんですよ。
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社長
法律には何て書いてあるんだよ!
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小林税理士
法律(法人税法)には、貸倒のことはどこにも書いてないんですよ。
ただ、通達では3種類に分けて規程されています。

貸倒損失の種類

貸倒損失の種類

法人税基本通達
① 9-6-1(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
② 9-6-2(回収不能の金銭債権の貸倒れ)
③ 9-6-3(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ )

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社長
種類を挙げられても、よくわからないんだが。
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小林税理士
簡単にいうと
①は、法律上の貸倒が生じた場合
②は、法律上は貸倒は生じていないんですが、事実上貸倒が生じた場合
③は、法律上も事実上も貸倒が生じていない場合でも、例外的に形式上の要件を満たした場合
となります。
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社長
で、これ知ってるとどうなるの?
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小林税理士
回収できそうにない売掛金なんかがある場合、貸倒損失で落とせるのか、落とせるとしていつのタイミングで落とせるのかがある程度社長さんのほうでもわかるようになります。
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小林税理士
なので、後になって税理士事務所から「今期はまだ落とせない」と言われて腹立つこともなくなります(笑)。

貸倒損失が認められなかったら?

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社長
貸倒損失で経理処理して、認められなかったらどうなるんだ?
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小林税理士
税務上は、その事業年度に関しては貸倒損失はなかったものとして処理します。
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社長
そうなるとどうなる?
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小林税理士
例えば、

例1)決算で貸倒損失200を計上した。その結果、当期の利益は△100になった。(注:わかりやすく説明するため税務調整項目は貸倒損失以外他にないものと仮定する)

貸倒損失が認められた場合

当期の利益(損失)△100=税務上の所得△100

貸倒損失が認められない場合

当期の利益(損失)△100に対して、

税務上の所得は、貸倒損失200がなかったものとされるので、

当期の利益(損失)△100に200を加算した100が税務上の所得となので、税務上は黒字となり税額が発生する。

              

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社長
なんだ、見た目(決算書)が赤字なのに税額が発生するのか!なんか納得いかないな。
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小林税理士
気持ちはわかります(笑)。
でも、翌期黒字となって貸倒が認められたら、逆のことが起きますよ。
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社長
ん?どういうこと?

例2)例1の翌期の決算は100の利益となり、前期認められなかった貸倒損失200が今期認められた場合

税務上の所得(貸倒損失以外の調整項目はないものと仮定する)

当期の利益100-前期の貸倒損失200=当期の税務上の所得△100

結果、決算書上は利益が出ているが、税務上の所得は赤字なので税額は発生しない。

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社長
おお、これだと何か得した気分になるな。
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社長
でも、結局損金になるんだったら、わざわざ税務で損金になるタイミングをずらしたりする意味あんの?
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小林税理士
貸倒損失の判断を完全に社長任せにしちゃうと、絶対かなり利益が出た事業年度で貸倒損失にしようとしますよね(笑)。
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社長
当然だろ(笑)。
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小林税理士
そうすると利益調整に利用されちゃうので、税務で一定の判断基準が設けられているんです。
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社長
まあ、わからなくもないけど。
でも、決算で貸倒損失で落としたのに、税務上で調整するとかってわかりずらいよな?
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小林税理士
なので、実務上は税務の判断基準にあわせたタイミングで貸倒処理することが一般的(中小・零細企業の場合)なので、あまり上記のような処理はしませんよ。
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社長
そうだろ。
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社長
でも、そもそも貸倒損失として認められるとか、認められないとかって、どうやって判断するんだ?
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小林税理士
それは、さっきの通達で判断していくことになります。
通達の内容については、次の機会にお話させていただきます。