平成25年度税制改正で創設されました所得拡大促進税制ですが、
平成30年度の税制改正で適用の有無の判定方法や
控除率などが改正されました。
今回、大幅な改正に伴い中小企業庁のほうから
中小企業向けのガイドブックとQ&A集が公表されました。
中小企業向け所得拡大促進税制 ご利用ガイドブック
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudaiguidebook.pdf
中小企業向け所得拡大促進税制 よくあるご質問Q&A集
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudaiqanda.pdf
目次
所得拡大促進税制概要
この制度は、青色申告者である法人又は個人事業者が従業員の給与を増加させた場合には、
増加額のうち一定額を算出された法人税又は所得税から控除する制度で
賃上げに積極的に取り組む企業に対し、税制面から支援する制度といわれています。
何がどう変わったか
適用要件の改正は下記の通り(法人、中小企業)
この制度は、計算だけでなく、用語の意義も覚えるのがとても面倒です。
上記の
雇用者給与等支給額とは、適用年度(当期)の損金に算入される給与で
パート・アルバイト・日雇労働者を含むが役員や使用人兼務役員(会社法上の役員で
あるが、一方で使用人(一般の従業員)としても働いているような人)、
役員の特殊関係者(説明は割愛させていただきます)は除かれる。
また、継続雇用者給与等支給総額とは、継続雇用者(前期の期首から適用年度の期末まで
在籍し、給与を受けた従業員のうち一定の者)に支払った給与総額をいう。
他にも用語の意義はたくさん出てくるのですが
ここで、用語の意義を書き連ねてもしょうがないので
添付のガイドブック等で確認してください。
簡単にまとめると
要件①は廃止になった。(H24の給与と比較しなくていい)
要件②はそのまま。
要件③は用語の定義が見直しになって、
継続雇用者(下記の黄色の部分のみが対象者)の給与増加の割合が
1.5以上であれば適用できますということです。
税額控除額も下記の通り変更となりました。
こちらも簡単に説明すると
適用要件を満たせば、
今まではH24と比較して増加した給与部分の10%を税金から控除できたが
今回の改正で前期と比較して増加した給与部分の15%を税金から
控除出来るようにに変更になった。
さらに、
今までは、前年比較で2%以上給与が増加している場合には
通常の10%控除に加えてプラス12%の合計22%控除出来たが、
今回の改正では、上乗せ要件を見直し
要件を満たせば通常の控除率15%に代えて25%になったということです。
設立事業年度の特例はなくなったので注意
改正前までは、設立時事業年度のように比較対象の事業年度がない場合でも
特例的にこの制度の適用がありましたが、
今回の改正で適用できなくなったのでご注意ください。
経営力向上計画は早めに申請を
今回改正で追加された税額控除上乗せ要件の一つである
経営力向上計画の認定についてですが
これは適用年度終了の日までに認定を受けていなければならない。
中小企業庁のほうでは、申請から認定まで通常1か月から1か月半は
かかるそうなので申請書類の作成期間も含めると
2か月以上前に経営革新等支援機関のサポートを
受けておいたほうが良いと思います。
まとめ
今回の改正は法人については平成30年4月1日以降に開始する事業年度から
個人については平成31年分から適用となります。
今回適用要件が改正となり判定の計算が若干楽になったとはいえ、
それでも、判定に時間を要することもあり
また、事業年度が終了しないと判定は出来ないので
確実に適用したい場合には、11か月分まで計算し
12か月目を概算で加算し、適用できるかギリギリの場合には
決算賞与の支給も検討する必要もあると思うので
損しないためには税理士と事前に打ち合わせておく必要があります。