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小林税理士
以前、寄付金の話のところで、資産を贈与した場合や低額譲渡をしたときは、時価で譲渡したものと考えるというような話をしたことを覚えてます?
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社長
覚えてるよ。
まだ寄付金の話続くのか?
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小林税理士
ええ、もうちょっと続きます。

時価って?

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社長
寄付金の話の時、「時価」って結構出てきたけど、実際問題「時価」なんてどうやって計算するんだ?
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小林税理士
そこですよね。
低額譲渡の理屈がわかっても、実際計算するときに時価がいくらだかわからなければ計算しようがないですもんね。
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小林税理士
でも税務でも時価って「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に成立すると認められる価額」というふう考えられていて、意味は分かるけど具体的ではないんですよ。
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社長
意味もよくわからんが。。。
結局具体的なことが答えられないから小難しく、それっぽいこと言っているようにしか聞こえないんだが。
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小林税理士
言いたいことはよくわかります(笑)。
でも実際、「この金額が誰の目から見ても時価です」なんて金額は、誰もわからないでしょうからね。
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社長
じゃあ、結局わからないのか?
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小林税理士
具体的に「これが時価です。」というような、はっきりとした金額は出せないですけど、上記の「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に成立すると認められる価額」という考え方から、この金額を使えば妥当かなというのはわかります。
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社長
じゃあ、それちょっと教えてよ。

棚卸資産

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小林税理士
商品や製品のような棚卸資産の場合には、「定価」や「通常の販売価格」になります。
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社長
まあ、これが時価って言われりゃ妥当だよな。
でも「定価」が表示してるけど常に値引きしてる場合なんかは値引き後の金額が「通常の販売価格」でいいんだよな?
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小林税理士
ええ。
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社長
季節遅れの商品や商品に汚れなんかがあるような商品を贈与や低額譲渡しても定価で譲渡したことになるのか?
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小林税理士
いえ、そういう場合実際に販売するときでも定価では販売してないですよね?
おそらくかなり値引きして販売していると思いますので、その値引き後の金額を時価と考えて大丈夫です。

土地

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小林税理士
次に土地なんですけど、土地の場合には定価や販売価格というのがないので棚卸資産より時価の金額の算出が難しくなります。
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社長
土地でも販売価格はあるだろ?
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小林税理士
不動産販売業者の場合にはありますけど、その場合には、その土地は商品なので棚卸資産と同じ考え方になります。
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社長
土地の場合、路線価とかいるいろあるよな?
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小林税理士
ええ、路線価のほかに売買実例価額や不動産鑑定士評価額、公示価格、固定資産税評価額とかいろいろありますからね。
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社長
売買実例なんて、地域によってはほとん取引がないところもあるだろ。
それにどうやって調べるんだよ。
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小林税理士
売買実例なら一般の人でもこちらで調べられますよ。
ちなみに公示価格も調べられます。
土地総合情報システム
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小林税理士
ただ、近隣の取引事例が少ないと参考にならないといったことはよくあります。
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社長
あと不動産鑑定士評価額って、土地をタダであげたり、安く譲るのにコストをかけて時価を算出するっていうのもなんだかな。
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小林税理士
確かに。
でも土地の形状がかなり特殊な形をしていたり、個別の事情がある(例えば土壌汚染があるとか)土地の場合には、不動産鑑定士評価額以外だと、かなり高めの価格になってしまう可能性もありますよ。
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社長
じゃあ、特殊な事情がないような土地だったら、公示価格がコストもかからず妥当かな?
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小林税理士
そうですね。
あと路線価で評価した評価額に0.8で割り戻した金額とか。
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社長
なんで0.8で割り戻す必要があるんだ?
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小林税理士
路線価は、一般的に公示価格のおおむね80%くらいといわれているので公示価格ベースにするためです。
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社長
固定資産税評価額は使えないのか?
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小林税理士
固定資産税評価額だと、路線価評価以上に安く評価されているケースが多いこともあって、あまり参考になりません。

減価償却資産

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小林税理士
次に建物や車両、備品などの減価償却資産ですが。
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社長
備品なんて時価の算出なんかできるのか?
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小林税理士
減価償却資産の場合、時価の算定はかなり困難ですから中古業者の見積価格や建物であれば不動産鑑定士評価額なんかが参考になります。
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社長
見積や鑑定に出すって面倒だな。
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ええ、なので実務上は下記の通達を準用して帳簿価格を時価としたりしています。

 法人税基本通達9-1-19(滅価償却資産の時価)
 法人が、令第13条第1号から第7号まで《有形減価償却資産》に掲げる減価償却資産について次に掲げる規定を適用する場合において、当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時からそれぞれ次に掲げる時まで旧定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「三十一」により追加、平12年課法2-7「十六」、平17年課法2-14「九」、平19年課法2-3「二十一」、平19年課法2-7「九」、平21年課法2-5「七」により改正)
 (1) 法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》 当該事業年度終了の時
 (2) 同条第4項《資産評定による評価損の損金算入》 令第68条の2第4項第1号《再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価損の額》に規定する当該再生計画認可の決定があった時
 (注) 定率法による未償却残額の方が旧定率法による未償却残額よりも適切に時価を反映するものである場合には、定率法によって差し支えない。

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社長
でも、赤字でずっと減価償却をしてなかった会社ときちんと減価償却していた会社とで同じ資産でも時価が変わっちゃわないか?
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小林税理士
なのでその場合、通常通り減価償却をした場合に算出される未償却残高を時価とします。
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社長
償却しきって1円になってる減価償却資産は1円を時価としてもいいのか?
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小林税理士
償却しきって1円の場合、資産にもよると思いますがかなり古くても市場で高く売れている車や建物なんかの場合には1円を時価とするのは問題があると思います。
リスクを避けるためにも、見積等とっておいた方が良いと思います。