・資産の低額譲渡
・資産の低額貸付
・無償の役務提供
・低額の役務提供
・資産の高価買入れ
・資産の高額借入れ
・高額の役務の支払い
・債権放棄、債務免除
・債務の無償引受 などです。
目次
前提
法人税法第37条 (寄附金の損金不算入)
1~7項省略
8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
・無償の役務提供などの取引を行っても、必ず寄付金とされるわけではない。
・寄付金とされるのは、実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額がある場合に限られる。
基本的な考え方
無償の役務の提供の場合
例)通常の家賃100万円/月の事務所をタダで貸した場合
貸した側
本来通常の家賃で貸したとみなす
(借方)現金 100万/(貸方)受取家賃 100万
受け取った家賃を借り主に寄付したとみなす
(借方)寄付金 100万/(貸方)現金 100万
現金のやりとりを省略すると
(借方)寄付金 100万/(貸方)受取家賃100万
仮に寄付金100万円が全額損金不算入だとすると
貸した側の課税所得は
100万-0=100万
借りた側
(借方)支払家賃 100万/(貸方)雑益 100万
益金と損金が総額計上されるので、借りた側は課税なし。
どうみたって、利益を受けているのは借りている側のほうなのに。
寄付金が損金として制限を受ける理由
でも仮に寄付金を無制限に損金として認めたらどうなるでしょう。例をあげてみると。
例)仕入れた商品をタダであげた場合
仕入れ 10万円(売価15万円) これを全部タダであげたとすると
仕入れたとき
(借方)仕入 10万/(貸方)現金 10万
寄付したとき
(借方)寄付金 15万/(貸方)売上 15万
仮に寄付金が全額損金になるとしたら・・・
課税所得は
15万(売上)-10万(仕入)-15万(寄付金)=▲10万円
仕入の分だけ課税所得が減少する
↓
課税所得が減少すると、税額が減る
↓
税額が減ると、国の税収が減る
↓
減った税収は、結果的に国が寄付金の一部を負担したのと同じ
↓
なので無制限に寄付金を損金にするのはダメ! という理屈になる。
寄付金が無制限に損金になれば、比較的簡単に所得を減らしたりってことが出来ちゃうよな。
こう考えると寄付金が寄付した側に課税されるっていうのがわかりますよね。
実質的に贈与したものとみなされる金額
寄付金が寄付した側に課税せれる理屈もわかった。
低額譲渡・低額貸付・低額の役務提供
例えば、
例)土地を低額譲渡した場合
時価3,000万円
売却価格1,000万円
3,000万円で土地を購入し、知り合い(事業の関係性なし)にその土地を
1,000万円で売却した場合
土地購入時
(借方)土地 3,000万円/(貸方)現金 3,000万円
売却時
(借方)現金 1,000万円/(貸方)土地 3,000万円
(借方)土地売却損 2,000万円
さらに、売却代金1,000万円を売却先の知り合いに寄付したら
(借方)寄付金 1,000万円/(貸方)現金 1,000万円
寄付金の損金算入限度額は0円と仮定する。
「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額がある場合 」ってそういう意味だったのか。
ちなみに低額貸付や低額の役務提供なんかも考え方は基本的に一緒です。