法人税
従業員等の飲み福利厚生費で大丈夫?交際費等や給与との違いを理解する
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仕事終わりに社長が従業員と飲みに行き、その代金を会社が負担して「福利厚生費」で処理している。中小企業ではよくあることですが、税務上は必ずしも福利厚生費になるとは限りません。福利厚生費・交際費・給与の違いと、気をつけたいリスクを解説します。
この記事のポイント
- 従業員との飲食は、交際費に当たることがあります。
- 福利厚生費になるのは、従業員におおむね一律に、通常の範囲の費用で行う場合です。
- 一番注意したいのは、社長の個人的な飲食として「給与」とされることです。
従業員との飲食は「交際費」に当たることがある
社長としては、仕事終わりに従業員と食事をして親睦を深めることは、従業員の満足度を高めるための大切な経費だとお考えだと思います。その考え自体は間違っていませんが、税務上の扱いは少し違います。
税務上の交際費に当たるかどうかは、次の3つで判断します(くわしくは「交際費と会議費との違いは?」をご覧ください)。
- 支出の相手が「事業に関係のある人」であること
- 目的が、その人との親睦や、取引を円滑に進めるためであること
- 接待、供応(飲食でもてなすこと)、慰安、贈答などの行為であること
社長が従業員を連れて飲みに行った場合、従業員は事業に関係のある人で、目的は親睦、行為は飲食のもてなしなので、3つとも当てはまり、交際費になります。
なお、1人あたり10,000円以下(2024年3月31日までの支出は5,000円以下)の飲食費は交際費から除外できる、という規定がありますが、これは社外の人との飲食が対象です。社内の人だけの飲食には使えません。
福利厚生費になるのはどんな場合か
福利厚生費と交際費の区分については、次の通達が目安になります。
租税特別措置法関係通達61の4(1)-10(福利厚生費と交際費等との区分)より(抜粋)
社内の行事に際して支出される金額等で次のようなものは交際費等に含まれないものとする。
(1) 創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用
(2) 従業員等(従業員等であった者を含む。)又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用
ここから、福利厚生費になるかどうかのポイントは、次の2つだと考えられます。
- 従業員におおむね一律に行われていること
- 通常の飲食の範囲の費用であること(高額でないこと)
「おおむね一律」は、必ずしも全従業員でなくてもよく、特定の事業所や部署の全員でもよいとされています。たとえば、仕事の打ち上げとして、部署の全員で通常の範囲の飲食をするのであれば福利厚生費になりますが、社長と特定の従業員だけで飲みに行く場合は交際費になります。
交際費になってしまうと、何か困ることがあるのですか?
資本金1億円以下の中小企業であれば、交際費は年間800万円まで損金にできます。年間800万円も交際費を使う会社は少ないので、福利厚生費が交際費になっても、法人税への影響はほとんどありません。
注意したいのは、交際費ではなく「給与」とされてしまう場合です。
本当に怖いのは「給与」とされること
業務上の必要性がない飲食だと指摘されると、社長の個人的な飲み代(従業員の分を含む)を、会社に付け替えただけだと判断されることがあります。そうなると、会社がお店に支払ったのではなく、会社が社長に給与を払い、社長がその給与からお店に支払った、という扱いになります。
租税特別措置法関係通達61の4(1)-1(交際費等の意義)より(抜粋)
「交際費等」とは、(中略)法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。
(1) 寄附金 (2) 値引き及び割戻し (3) 広告宣伝費 (4) 福利厚生費 (5) 給与等
社長への給与とされると、次のように、あらゆる税金で追加の負担が生じます。
| 税金 | 影響 |
|---|---|
| 法人税・住民税・事業税 | 役員給与は定期同額給与などに当たらないと損金にならない。飲食代は毎月ばらばらなので、損金にならない |
| 所得税・住民税 | 社長への給与として、源泉所得税を追加で納める必要がある |
| 消費税 | 給与は課税仕入れにならないので、飲食代に含まれる消費税を差し引けなくなる |
まとめ
従業員との飲食を福利厚生費にするには、次の2点を意識しておきましょう。
- 従業員におおむね一律に行うこと
- 通常の範囲の費用であること(高額でないこと)
社長と特定の従業員だけの飲食は交際費になります。業務との関係が説明できないものは、給与とされるおそれもあるので注意が必要です。交際費の考え方は「交際費と会議費との違いは?」、「広告宣伝費も交際費になる?」でも解説しています。
※記事の内容は、更新日時点の法令にもとづいています。実際の判断は、個別の状況によって変わることがあります。