前回、貸倒損失についての基本的な内容についてお話させていただきました。
今回は、取引先が民事再生や破産の申し立てをした場合の貸倒損失の取り扱いについてお話させていただきます。
目次
法律上の貸倒が生じた場合とは?
知り合いの会社ではあったようだけど、あんなの出してもほとんど戻って来ないって言ってたぞ。
法人税基本通達9-6-1(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。(昭55年直法2-15「十五」、平10年課法2-7「十三」、平11年課法2-9「十四」、平12年課法2-19 「十四」、平16年課法2-14「十一」、平17年課法2-14「十二」、平19年課法2-3「二十五」、平22年課法2-1「二十一」により改正)
(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
詳しくは、下記の算式により計算した金額まで損金算入が認められます。
Ⓐ:対象個別評価金銭債権
Ⓑ:実質的に債権とみられない部分の金額(相手方に対する買掛金など)
Ⓒ:担保権の実行等により取立て等の見込みがあると認められる金額
回収不能見込み額(貸倒引当金繰入額)=(Ⓐ-Ⓑ-Ⓒ)×50%
破産の場合は注意
・会社更生法による更生計画認可の決定
・民事再生法による再生計画認可の決定
・会社法の特別清算に係る協定の認可の決定
・私的整理手続きによる関係者間の協議決定
・債権放棄(債務免除)による切り捨て
破産手続きがどうなったかを確認する
まとめ
・会社更生法、民事再生法、会社法の特別清算、私的整理などは切り捨てられる金額が決定した場合には、決定した金額が貸倒損失となる。
・破産法には、切り捨てという考えはない。
決算時に、債権がどうなっているか確認する。
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額