事業活動を行っていれば、地域の慈善活動等への協力などから寄付金を支出することもあると思います。
しかし、税務でいうところの「寄付金」は、世間一般的にイメージされている寄付金とは、かなりズレがあるように思います。
そこで今回は、税務(法人税)でいうところの「寄付金」とはどんなものか、税務上の取扱いはどうなるかなどについてお話させていただきます。
目次
寄付金とは?

今回は、寄付金についてお話させていただきます。
そもそも寄付金ってどんなものをイメージされています?
そもそも寄付金ってどんなものをイメージされています?

募金とか、義捐金とか、あと町内会なんかの行事とかで払うものっていうのが一般的じゃないか?

一般的なイメージはそんな感じですよね。
でも、税務でいうところの寄付金は、もっと範囲が広いんですよ。
こちらが、法人税での寄付金の定義なんですが。
でも、税務でいうところの寄付金は、もっと範囲が広いんですよ。
こちらが、法人税での寄付金の定義なんですが。
法人税法 第37条 (寄附金の損金不算入)
1~6項まで省略
7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。) をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
以下、省略
名義は関係ない

上の条文を見ていただくとわかりますが、「寄付金」っていう名目でお金が出ていなくても、見舞金という名目であったとしても税務では寄付金となってしまいます。

見舞金て寄付か?見舞金は見舞金だろ。

そのへんの認識が、一般的な寄付金のイメージと税務上のイメージでズレてしまうんですが、要は、「一方が、相手方に対し任意にしかも反対給付を伴わずに行う財産的給付」であれば寄付金となってしまうということです。

もうちょっとわかりやすく説明してくれねーか。

通常事業活動を行っていて、お金を払うときって、商品を仕入れたとか、従業員に働いてもらったからとか、何らかのサービスを受けたとかですよね?

まあ、そうだな。

このように、何かを購入したとか、何かをしてくれたとかで、その代わりにお金を支払うことを反対給付なんていいます。

そうすると商品の仕入れや給与の支払い、備品の購入などは反対給付を伴うことになります。

一方で寄付金や見舞金はどうでしょう?

寄付金や見舞金を払ったからといって、見返りに何かしてくれってことはないから、反対給付は伴わないってことか。

反対給付を伴わないってことからすれば、寄付金も見舞金も一緒だから条文では、「名義のいかんを問わず」ってしてるのか。

そうゆうことです。
現金だけとは限らない

先程反対給付の説明の際、お金を支払うというふうにご説明しましたが、お金じゃなくモノだったらどうでしょう?
例えば会社の商品とか?
例えば会社の商品とか?

商品をタダであげるんだったら贈与だから交際費になるんんじゃないか?

お金の場合は寄付金で、モノだったら交際費だとすると交際費にするためには、相手に直接お金を渡すのではなく、相手の欲しい物を買ってあげることで交際費にすることができちゃいますよね?

お金かモノかは関係がないってことか?

ええ、そうなんです。それが条文にも書いてある「 金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与 」ってことなんです。
ここまでのポイント
・税務上の寄付金は、反対給付(見返り)がない相手に対して行ったものであれば、見舞金などの名目であっても寄付金となる。
・現金で支払おうが、モノで渡そうが関係ない。
寄付金は経費(損金)になるか?

でも、会社で寄付金なんかを払っているってことは、必要だから払ってるんだから経費(損金)でいいんだろ?

う~ん、そこなんですけど、寄付金の内容によってはほとんど経費(損金)にならないことが多いですね。

ほとんどってどういうことだ?

詳しくは今回お話しませんが、寄付金の内容によって、損金に出来る金額に限度額があるんですけど、その限度額って中小企業の場合、あまり大きくならないんですよね。

でも、寄付金だって地域とか社会貢献ってことからいえば、必要な経費だろ。

確かにそうかも知れませんが、ただ寄付金の場合、反対給付(見返り)を伴わないってこともあって、直接的に収益獲得に貢献しなかったり、事業との関係性が薄かったりしますからね。

ただ一方で、社長が言ったように地域との関係や社会貢献なんかも必要というのもあります。

だから無条件に寄付金を経費(損金)に落とすんじゃなく、限度額を設けてるってことなのか。

そうゆうことになります。
なにが寄付金になるか認識することが必要

中小企業の方々にとって必要なのは、どういう取引が寄付金になるかってことだと思います。

たしかに、名義は関係ないだとか、損金にはほとんど落とせないってのはわかったけど、具体的にどういった取引が寄付金になっちゃうのかって知っておく必要あるよな。

ええ、よくあるトラブルが、交際費だと思って経理処理していたけど決算の時に税理士事務所から交際費ではなく、寄付なんで経費(損金)で落とせないってことがわかり、思わぬ税負担が生じてしまうなんてことがよくあります。

実務では、資産の無償譲渡や低額譲渡、債務免除や債権放棄なども寄付金になってしまうケースもあるんですよ。

なんだかよくわからないけど問題になりやすいんだな?

ええ、これらに関しましては次回以降お話させていただきます。