今年の年末調整は、配偶者控除の大幅な改正で

税理士事務所のホームページだけでなく

雑誌やネット等でも特集記事を多く見かけます。

ですが、年末調整で誤りやすいのは配偶者控除だけではありません。

今回は、理解しづらい「同居老親等」と「同居特別障害者」の「同居」の違いに

ついてご説明いたします。

それぞれの定義と具体例

同居老親等

老人扶養親族のうち、所得者又はその配偶者(以下、「所得者等」といいます。)の直系尊属(父母や祖父母などをいいます。)で所得者等のいずれかとの同居を常況としている人をいいます。

ポイントは、

①老人扶養親族であること

②所得者等の直系尊属であること

③所得者又は所得者の配偶者のいずれかとの同居を常況としていること

上記3つをすべて満たす必要があります。

具体例

例1)

家族構成(所得者本人、所得者の配偶者、配偶者の父)

生活状況・・・配偶者の父は所得はほとんどなく(合計所得金額38万円以下)、所得者本人と同居で生活費は所得者本人から出ている。

→この場合、生活費の出所が一緒で、所得も38万円以下なのでポイントの①に該当し、配偶者の父なので配偶者の直系尊属にあたり(ポイント②該当)、所得者等と同居しているのでポイント③にも該当するので、同居老親等に該当する。

例2)

家族構成(所得者本人、所得者の配偶者、配偶者の父)

生活常況・・・所得者と配偶者は別居しており、配偶者は配偶者の父(合計所得金額38万円以下)と同居で生活費は所得者本人から出ている。

→この場合、配偶者の父は所得者本人と一緒に住んでいなくとも生活費は所得者から出ているので生計を一に該当し、ポイント①に該当する。ポイント②も該当。また、所得者本人とは同居していないが、所得者の配偶者と同居しているので、ポイント③にも該当するので、同居老親等に該当する。

例3)

家族構成(所得者本人、所得者の配偶者、配偶者の父)

生活状況・・・所得者と配偶者は、配偶者の父とはそれぞれ別に暮らしているが配偶者の父(合計所得金額38万円以下)の生活費は所得者本人から出ている。

→この場合、所得者と配偶者の父は同居はしていないが、生計を一にしているのでポイント①に該当する。ポイント②にも該当する。ポイント③は、所得者とも配偶者とも同居していないので要件を満たさない。よって、老人扶養親族では控除できるが、同居老親等には該当しない。

同居特別障害者

同一生計配偶者又は扶養親族のうち特別障害者に該当する人で、所得者、所得者の配偶者又は所得者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人をいいます。

ポイントは、

①同一生計配偶者(青色事業専従者等を除く)又は扶養親族のうち特別障害者であること

②所得者、所得者の配偶者、所得者と生計を一にするその他の親族のいずれかと同居を常況としていること

上記の2つの要件を満たす必要があります。

例4)

家族構成(所得者本人、所得者の配偶者、所得者の子、所得者の父、以下すべての例において同じ。)

前提・・・配偶者は控除対象配偶者に、配偶者の父は扶養親族かつ特別障害者に該当し、所得者の子は扶養親族に該当しないが所得者と生計を一にする。(以下、すべての例において同じ。)

生活状況・・・所得者の配偶者、子、父とも同居しており、生活費は所得者本人から出ている。

→この場合、父は扶養親族かつ特別障害者なのでポイント①の要件を満たし、所得者本人と同居しているのでポイント②の要件も満たすので、同居特別障害者に該当する。なお、父が老人扶養親族の場合には、同居老親等にも該当する。

例5)

生活状況・・・所得者と配偶者は同居、所得者の子は所得者の父と同居しており、所得者の子と父の生活費は所得者本人から出ている。

→この場合、ポイント①の要件を満たし、ポイント②の要件は、子は所得者の扶養親族ではないが所得者と生計を一にする親族に該当するので、その子と同居している所得者の父はポイント②の要件を満たすので同居特別障害者に該当する。なお、配偶者の父が老人扶養親族に該当する場合でも、所得者本人、所得者の配偶者のいずれとも同居をしていないので、同居老親等には該当しない。

2つの違い

同居老親等と同居特別障害者の「同居」の違いは

同居老親等・・・所得者又は所得者の配偶者のいずれかと同居

同居特別障害者・・・所得者、所得者の配偶者又は生計を一にするその他の親族のいずれかと同居

というように、同居特別障害者のほうが同居する親族の範囲が広いということになります。

意外と間違いやすいので注意してください。